約2000曲のコマーシャルソングを歌い「CMソングの女王」と呼ばれ、今年1月6日に亡くなった歌手で女優の天地総子(ふさこ)さん(享年78)のお別れの会が14日、都内で営まれ、約200人が参列した。

天地さんのコンサートのプロデュースも行った作詞家万里村ゆき子氏、声優松島みのりらがお別れの言葉を送り、天地さんの明るさと優しい人柄をしのんだ。ペルーやマレーシアからも友人が駆け付け、思い出を語った。

喪主を務めた夫岩澤竹次郎氏は「1月6日より本日まで、思考の停止に遭っています。お別れの会を目標にやってきました。これからは家内と過ごした時間を1つ1つ思い出す時間にしたい。今日は楽しくにぎやかに家内を送ってください」と、気丈にあいさつした。

祭壇とスクリーンの写真は、9年ほど前に取材で撮影したもので、天地さんが優しい笑みを見せている。献花台の近くには写真やCDも置かれ、参列者が手に取って見ていた。レセプションでは、生前のコンサート映像や写真などが紹介され、天地さんとコンサートをともにしたバンドが生演奏した。

天地さんはピアニスト天池真佐雄氏と声楽家の母を持つ音楽一家に生まれた。国立音楽大付属高を卒業し、NHK俳優養成所に入所。「パンシロンの歌」「ライオネス コーヒーキャンディー」など数々のCMソングを歌った。65年「マーチング・マーチ」が日本レコード大賞童謡賞を受賞するなど、子供向けから大人向けの歌まで歌った。

テレビアニメ「オバケのQ太郎」でQ太郎の声を担当。70年代にはNHKバラエティー「連想ゲーム」の女性チームキャプテンを7年間務めた。「ER」「デスパレートな妻たち」など海外ドラマや映画の声優としても活躍した。

また、ボランティア団体「あゆみの箱」や日本骨髄バンクで中心的な役割を果たすなど、社会活動にも取り組んだ。