12日から公開中の映画「多十郎殉愛記」の公開記念舞台あいさつが14日、大阪・ブルク7で行われ、主演高良健吾(31)と中島貞夫監督(84)が登壇した。

「極道の妻たち」など多くの傑作を手がけた中島監督による20年ぶりの新作。長州を脱藩し、幕末の京都に身を潜める多十郎(高良)の交錯した思いを描く。「刀を抜く理由」を見つけた主人公が魅了する、クライマックスでの30分におよぶちゃんばらシーンが最大の見せ場。

関西にいとこがいるという高良は小さい頃から「健吾、マジつまらん」と、関西人の洗礼を浴びてきたと話し「大阪の舞台あいさつは緊張します。何か面白いこと言わなきゃいけないと…」と笑わせた。役に関しては「ふんどしの色と長さ」を決めるのに一番、時間がかかったと裏話を明かした。

平成の最後に公開を迎えたこの映画にちなみ、MCから「新しい元号『令和』に挑戦したいこと」を聞かれた高良。フリップに書き込んだ答えを見せて「アイロンがけです」とはにかんだ。「ちょうど2日前にアイロンを買いまして。シャツが好きでよく着るんですが、しわになっていて、そういうのも嫌だなと。(これからは)ちゃんとかけていこうと思います」。この日は諸事情で私服での登場となり、ズボンを指して「これも自分でかけましたよ」と話すと、会場からは拍手が巻き起こった。照れる高良は「ただ、アイロンすごく難しいですね」と、上達に意欲を見せていた。

中島監督は以前、大阪で映画を上映した際に「画面に向かってやじが飛んできた」と、大阪の活気ある印象を振り返った。この作品には「ちゃんばらというのは、日本の映画界が生み出した最高のパフォーマンス技術だと思う」と語った。「新しい元号に挑戦したいこと」については「白紙です」。その理由を「いやもう、この歳ですからね。いつも次があると思って仕事をしていませんでしたし、今回もそうです。ただ、皆さんが『もう1本作れ』と言ってくだされば、やってみたいという気持ちはどっかにはあります」。次回作への意気込みものぞかせた。

最後に高良は「時代劇って、血なまぐさいとか古いとか(いう印象)ある方も多いと思う。でも、この映画はそうじゃない。泥臭くてちゃんと渋いものになっているが、それでも楽しんでいただける映画になっている」とアピールした。