俳優佐藤浩市(58)と渡辺謙(59)が17日、都内で映画「Fukushima50」(20年公開)のクランクアップ会見に出席した。

同作は、東日本大震災で原発事故を起こした福島第一原発が舞台。タイトルの「Fukushima50」は、原発事故以降も現場に残り続けた50人の作業員のことを指す。原作は門田隆将氏のドキュメンタリー「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」。

佐藤は、福島第一原発1・2号機当直長・伊崎利夫、渡辺は福島第一原発の吉田昌郎元所長(故人)を演じている。

佐藤は役作りについて「平素の生活の中では、あまり縁のないところにいる自分と、原発という中で放射能というものを理解しながらそこに生きる人たち。にわか勉強でしかないのですけど、そういうところを見に行かせてもらったり、読み物を読んだり浅い知識ながら詰め込んで臨むしかなかった」と話した。

一方、渡辺は作中、登場人物として唯一、本名で登場する吉田元所長を演じている。「非常にプレッシャーのある役でした。非常に助けになったのが、吉田さんの近くで働いてた方がスタジオにおみえになったことがあって、テレビに映し出されてない吉田さんはどうだったのかをかなり聞かせていただきました。テレビ会議が終わった後、“ばか野郎”と何度言ったか数えていたとか、その辺を加味して役を作らさせていただきました」と振り返った。

そして、福島に向けたメッセージとして佐藤は「まだ何も終わってないどころか、始まってないのかもしれない。オリンピックイヤーである20年にあらためて何を考えるべきか、皆さんと考えていきたいなと言う思いです」。渡辺は「これまで東北3県の被災地の避難所などをまわってきましたが、福島にはエンターテインメントという形で力を貸すことができませんでした。でも、僕たちが力を発揮できる映画で、何が起きていたんだと伝えられるような作品に関われました。福島の方々に、『こういう作品を届けることができました』と言いたいと思います」と話した。