作家乙武洋匡氏(43)が、東京・池袋で乗用車が暴走し、母子2人が死亡、8人が負傷した事故で、車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(87)に対する世間の怒りの声に「ベストなことなのか」と疑問を投げかけ、「公共交通機関のあり方を含めた『社会の仕組み』について建設的な議論をしていくことも併せて必要なのではないだろうか」と訴えた。

乙武氏は26日深夜、ツイッターを更新。飯塚元院長に対する非難の声がネット上などにあふれていることを受け、「人々の怒りが頂点に達している。それはもちろん理解ができる。ご遺族の会見を見たら、なおさらだ」と一定の理解を示しつつも、「だけど、今後こうした事故を減らしていくためには、公共交通機関のあり方を含めた『社会の仕組み』について建設的な議論をしていくことも併せて必要なのではないだろうか」との考えを示した。

また乙武氏は、同日配信されたAbemaTVのニュース番組「AbemaPrime」の中でも、「一番大事なことは、2度とこういう事故が起こらないようにすること。そのためには、ただ運転していた方に怒りをぶつけることがベストなことなのか。私自身、車椅子に乗って、いわゆる交通弱者です。運転していた方も足が不自由だった。もし彼が免許を返納するということを考えたときに、どれだけ今、公共交通機関というものが、交通弱者と呼ばれる人々に優しい作りになっているのか、またそれを補うだけの周りの人のお手伝いというのが期待できる社会なのか。そういうことを考えた時に『だったら、もうちょっと運転しちゃおうかな』という気持ちになってしまったのかな。そう考えると、あの運転した方を非難するだけでなく、どうしたらもっとああいう方々が免許を返納できるような社会になるのか、公共交通機関はどんな仕組みに変えれば彼らが免許を返納しようと思えるふうになっていくのか。そういった建設的な議論も必要になってくると思う」と話した。