脳科学者の茂木健一郎氏(56)が、NHKのニュース番組が報じた内容に疑問を呈し、同局の報道関係者を「現代における『貴族』になってしまっている」と厳しく批判した。

茂木氏はこれまでNHKの報道姿勢について「世界認識の甘さと、批評性のなさが絶望的」「救いようがない。国際性なし、批評性なし、編集ぬるい、ジャーナリストとしてのスタンスゼロ」などと批判を繰り返しているが、ゴールデンウイークに突入した28日のブログでも「昨日、たまたま出張先で19時にホテルにいたから、悠仁さまのことが気になって珍しくNHKニュースを見ようと思ってつけたら、その件は少なくとも最初の方では報じられずに(報じないという方針自体は1つの見識かもしれないが)10連休のことをだらだらだらだら報道していたのであきれてしまった」と書き出した。

「NHK報道はジャーナリストの集まりのはず。ならば、そもそも、現代の日本で、10連休でカレンダーどおり休める人たちがどれくらいいると思っているのか? 昨日の夜7時のニュースでは、大型客船のクルーズの話を延々とやっていたが、物流やサービスなど、休めない人たちがそれを見てどう感じるか?」と疑問を呈し、「政府が決めた10連休を、クルーズにもいけちゃう、とだらだら報じるのはジャーナリズムの役割ではない」と指摘。「ぼくが一番懸念するのは、NHK報道にかかわっている方々が、受信料制度に守られ、安定した雇用に守られ、ご自身たちはカレンダー通り休めないかもしれないけれども、社会の中でカレンダーどおり休める人たちと同じ、いわば『余裕こいた階層』に属しているということに気づかないでいることである」と私見を述べた。

続けて、「ニュースの作り方として、今の社会の本質に刺さる批評性のある切り口が出ないのは、自分たちが記者クラブを含むいろいろなものに守られているからじゃないか」と推測。「報道に限らず、NHKの職員の方々や、その志にもかかわらず、結果として現代における『貴族』になってしまっているのは事実なのだと思う。その結果、ニュース事象に対する切込み方がぬるま湯的になってくる。世の中で苦しんでいる人たちや、10連休なぞできるはずもない人たちへの想像力が欠けている」と批判した。