【台北4日=松本久】演歌歌手小林幸子(65)が台北国際会議センターで、芸能生活55周年記念のコンサートを行った。

2010年、13年に続く3度目の台湾公演。令和になってからの初仕事を「観光親善大使」を務める思い出の地でスタートを切った。

「シャオリン シンツー!」。中国語で「小林幸子」を意味する掛け声が飛び交う中、高さ7メートル幅16メートルの巨大衣装とともにステージに登場。満面の笑みを浮かべながら「星に抱かれて」の歌唱で、6年ぶりの台湾公演が始まった。「ダージャーハオ!(大家好=みなさんこんにちは)。日本の元号が『令和』になってから初のコンサートです。“歌い初め”を台湾でできてすごくうれしい。シェイシェイ(ありがとう)」。

200万枚突破のヒット曲「おもいで酒」や、台湾でミリオン超えをした人気曲「幸せ」、新曲「ポーカーフェイスにさよなら」などを次々と披露。地元出身で95年に死去した歌姫テレサ・テンさんの「時の流れに身をまかせ」は中国語で歌唱した。「同い年の親友でした。今日は追悼の思いも込めて歌いました」。ステージを締めくくったのは「千本桜」。バーチャルアイドル初音ミクのカバー曲だ。演歌からアニメまで幅広いジャンルを歌唱する小林らしく、2時間半、幅広い“幸子ワールド”を展開した。

前日に空港に到着して真っ先に向かったのが台北市内の龍山寺。公演成功を祈り、敷地内にある縁結びの神「月下老人」にお礼参りをした。11年春に結婚を祈願し、同年内に婚姻届を出した御利益があった。

「昭和、平成、そして令和と3つの時代を歌ってこられたことは私の宝物。55周年を迎えて、こんな幸せな歌手人生はありません。これからもまだまだ歌い続けます」。10年に女性演歌歌手として初コンサートを行った台湾で、令和時代のさらなる躍進を誓った。