スター・ウォーズ(SW)シリーズの人気キャラクター、チューバッカを38年間にわたって演じてきた俳優ピーター・メイヒューさんが先月末に亡くなった。74歳だった。

2メートルを超える身長でこの役に抜てきされたメイヒューさんだが、劇中で相棒ハン・ソロを演じたハリソン・フォードが「人生の友だった」とコメントを発表するなど、悼む声が相次いだ。

俳優とはいっても「着ぐるみ」に入るスーツアクターは裏方的な存在である。ここまで注目される例は珍しい。毎年のように行われるSWイベントでも、メイヒューさんはC-3POに入っているアンソニー・ダニエルズとともにフォードやヒロインのデイジー・リドリーに負けないくらいの声援を受けてきた。

SWが特別なシリーズだからだ。

「長い」と感じる人の方が多いかもしれないが、ハリウッド作品のエンディングは7、8分に及ぶものも少なくない。出演者、スタッフが延々とクレジットされるのが当たり前になっている。40年くらい前まではメインキャスト、スタッフだけのもっとシンプルなものだった。

実は長いエンディングを最初にやったのがSW第1作(77年)だった。この作品からシリーズの宣伝に関わった元20世紀フォックス映画日本支社の古澤利夫さんは「(シリーズ創始者の)ジョージ・ルーカスが映画に関わったすべての人々に敬意を表してクレジットしたのが始まりです」と話す。

そんなルーカスの考え方が地味な存在であるスーツアクターにも光りを当てたと言えるだろう。

晩年のメイヒューさんは膝に問題を抱えていたため、「フォースの覚醒」(15年)以降、アクションシーンの一部をフィンランド人のバスケットボール選手ヨーナス・スオタモが演じ、「最後のジェダイ」(17年)からはスオタモがすべてを演じている。

今年12月の9部作完結編「ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー」に向け、「ルーカスイズム」は目に見えないところでも受け継がれている。【相原斎】