先日、NHKで再放送された小田和正(71)のドキュメンタリー番組「密着ドキュメント 小田和正~毎日が“アンコール”~」を見た。

古希を迎えてもなお、ハイトーンボイスは健在。コンサートも連日満席でファンのハートをつかみ続けている。今回のドキュメンタリーでは、昨年5月から始まった全国アリーナツアーに密着した内容の放送の中で、小田がMCのこだわりについて話す場面があった。要約すると、とても大切にしていて、いかにMCでもお客さんを楽しませることが出来るかということについて、毎回開演前から考えているということだった。

正直、小田ほどの歌唱力など実力があれば、歌を聞くだけでファンは満足できるし、そんなステージもできると思う。それでも、ライブ全体をエンターテインメントとしてとらえて、MCも含めて人々の心に訴えかけようとすること、そしてそのことに関して労を惜しまない姿勢は、言葉(文字)をなりわいにするものの一人として、考えさせられるシーンだった。

もちろん、アーティストによってそれぞれスタイルは存在し、MCを必ずしなければいけないとは思わない。ただ、現代ではSNSも興隆し、気軽に自らの思いを発信できる時代にもなった。だからこそ、一言一言に心を配り、“生の言葉”を大切にする姿勢が大事なのではないかと思った。