歌手岸谷香(52)が5月1日に発売したアルバム「Unlock the girls 2」が話題を呼んでいる。心機一転、親子ほど年齢の離れた3人とガールズバンド「Unlock the girls」を組んで初のフルアルバムを発表。

名曲「Diamonds」などが生まれた80年代をテーマに作った。音楽への思い、俳優岸谷五朗(54)との結婚生活、伝説のガールズバンド「プリンセスプリンセス」のボーカルが今、思うことを聞いた。

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アルバムのテーマに、80年代の音楽を選んだ理由は明確だ。「人の根本的な性格が変わらないのと一緒。自分に一番すりこまれている」。バンドを組む3人はいずれも89年生まれ。「私がダイレクトに経験した80年代の音楽が、3人にとっては未経験で憧れ。世代は違うが、同じものを『いい』と思えたので、うまくミックスして懐かしいような新しい作品ができた」。

“懐メロ”にならないよう最新の要素をアレンジした。「似合っていないのに、昔みたいな服を着て『あのおばさん、どうしちゃったの?』は痛々しい。そんなことがないように気を付けています」。ジョークを交え、令和初日に送り出した9曲に自信を見せた。

9月からはピアノとギターの弾き語りのソロツアーを開催。こちらはバンドとはひと味違う。「今年で4年目のソロツアー。最初は1人では間が持たない気がしていたが最近は楽しくなってきた」と続けた。

ガールズバンド「プリンセスプリンセス」のボーカルとして1986年(昭61)にメジャーデビュー。女性バンド初の日本武道館公演を行うなど、一世を風靡(ふうび)して96年に解散。同年に岸谷五朗と結婚して01年に長男、03年に長女を授かった。そして01年に「奥居香」から「岸谷香」に改名した。

プリプリ時代と現在の違いを聞いた。「独身時代は『音楽が私の人生の全てです』という感じでやっていました。でも、今の私の人生で大事なのは家族と音楽の2つ」と言い切った。

結婚23年。夫婦関係は円満ですか? 「例えて言えば『家族』という船に乗っている乗組員同士。どっちがいなくても船は動かない。信頼関係が一番です。昔はいろいろ書かれたけど、残念ながら危機が訪れたことは一度もないですね」。

結婚と出産が人生の転機だとすれば、音楽家としての転機は11年の東日本大震災だった。震災の翌年、被災地の復興支援のために1年限定で16年ぶりにプリプリを再結成。公演チケットの売り上げなど5億円以上を寄付した。「再結成をして、初めて自分以外の誰かのために歌うことを経験した」と振り返った。

50代を迎えて始めたことが2つある。1つは英語の勉強。長男(17)が昨年、米国に留学したことをきっかけに始めた。もう1つが週に1日、酒を飲まない日を作ったこと。「それまでは基本、毎日飲んでいて『休肝日』がなかった。でも、70歳になっても友だちと好きなお店で、好きなだけお酒を飲める人生を送りたいなと」。

音楽に関わるモットーは「好きなんだから楽しくやろう」。休肝日を設けてから体調は絶好調!ノリノリの曲調と同様、岸谷は好きな音楽を楽しみながら走り続けている。【松本久】

◆岸谷香(きしたに・かおり) 1967年(昭42)2月17日、東京都生まれ。86年にガールズバンド「プリンセスプリンセス」のボーカルとしてメジャーデビュー。「Diamonds」「世界でいちばん熱い夏」などのヒット曲を飛ばして96年に解散。同年に俳優岸谷五朗と結婚した。97年にシングル「ハッピーマン」でソロ活動をスタート。17年にガールズバンド「Unlock the girls」を立ち上げた。