歌舞伎俳優尾上右近(27)が3日、都内で、今年で5回目を迎える自主公演「研の會」(8月28~29日・京都芸術劇場春秋座、9月1~2日・東京の国立劇場小劇場)の取材会を行った。

演目は、音羽屋を代表する演目の1つ「弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)」のほか、猿翁十種から「酔奴(よいやっこ)」。

「酔奴」での竹馬に乗る場面にちなんで、右近は竹馬に乗って登場。さらに額には、「弁天娘-」で弁天小僧菊之助が負う傷を付けるという念の入りようだった。

「弁天娘-」は右近の高祖父である5代目菊五郎が初演し、曽祖父の6代目菊五郎へと引き継がれた。弁天小僧菊之助は、当代菊五郎(76)の当たり役でもある。

右近は「『弁天』は私のルーツに近い、思い出のある演目」と話した。

自主公演で「弁天娘-」を上演したいと申し出た時、菊五郎は「やりたいものをやったらいいじゃないか」と言ってくれたそうで、先月の博多座公演で一緒になった時に稽古を付けてもらった。

右近は「菊五郎のおじさまという本物の弁天小僧を前にして、自分がやることは本当に難しかったし、緊張しました。ポイントをばしばしと注意してもらったお稽古でした」と話した。

自主公演5回目にして初の2都市開催。右近は「第1回の時は、まさか2都市でできるとは思っていませんでした。自分のキャパシティーの中でできることだけを繰り返していても何も前に進まないし、成長しないし、楽しさも生まれない。自分のキャパシティーを超える挑戦をしたい。少なくとも10回までは続けて、規模拡大を目指している」と語った。