歌舞伎俳優・中村勘九郎(37)が、“静岡愛”を披露した。今月10日、都内で全国巡業公演「錦秋特別公演」(10月8~23日、14カ所)の取材会に出席。05年から弟の中村七之助(36)と続ける同公演には今回、10月16日の静岡公演(静岡市民文化会館大ホール、静岡朝日テレビ主催)が盛り込まれた。静岡公演は、16年11月9日にアクトシティ浜松大ホールで行われて以来、3年ぶり8度目。勘九郎は、通い慣れた静岡の地元グルメの中で、静岡おでんが好物だという。

「静岡おでんが大好きです。大河ドラマのスタッフの中に静岡出身の人がいるので、その人が作ってくれるおでんをよく食べています。黒はんぺんも大好きです」。放送中のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(日曜午後8時)で主人公の金栗四三を演じているが、約1年間の撮影スケジュールを乗り切る原動力は、静岡おでんだった。

今回の公演には、静岡県民なら親近感を抱く演目がある。2番目の「艶紅曙接拙(いろもみじつぎきのふつつか)」では、静岡県のシンボル・富士山が登場する。「金栗さんが初めて高地トレーニングをした場所が、富士山といわれています。僕自身も親近感を覚える場所なので、演じるのが楽しみです」と勘九郎。4番目の演目「松廼羽衣(まつのはごろも)」では、静岡市清水区の世界遺産、三保の松原が舞台。静岡県民にも知られる羽衣伝説が、歌舞伎で披露される。

勘九郎は「県民の皆さんになじみ深い場所が、歌舞伎ではこうなるんだ、というところを見ていただきたい。七之助の女形は美しいので、必見です」とPRした。

◆中村勘九郎(なかむら・かんくろう)本名・波野雅行。1981年(昭56)10月31日、東京都生まれ。父は18代目中村勘三郎さん。86年に歌舞伎座の「盛綱陣屋」小三郎役で初お目見え。87年に「門出二人桃太郎」の桃太郎役で2代目中村勘太郎を名乗り、初舞台。12年に6代目中村勘九郎を襲名。映画やテレビなどにも活躍の場を広げる。09年に女優・前田愛と結婚。2男をもうける。身長174センチ。血液型O。

◆錦秋(きんしゅう)特別公演 中村勘九郎、七之助兄弟を中心に、中村屋一門が毎年行う全国巡業公演。2005年(平17)から毎年開催され、時期によって「春暁」、「新緑」と銘打たれる。歌舞伎が定期開催される劇場は少なく、中村兄弟が「自分たちが全国各地に足を運び、たくさんの方に歌舞伎を見てもらおう」と発案。毎年さまざまな演目を取り上げている。今秋は、栃木、茨城、三重県で初開催。これで47都道府県すべてに訪れることになる。