詐欺グループ相手の闇営業問題で吉本興業から契約解除されたお笑いコンビ、雨上がり決死隊の宮迫博之(49)が20日、都内で会見を開き、同社への不信感と幹部から圧力を受けていたことを暴露した。今後契約解消が検討されているロンドンブーツ1号2号の田村亮(47)とともに、詐欺被害者に謝罪した。また、金塊強奪事件犯グループとの面識、金銭授受報道は否定した。

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会見は午後3時から2時間半以上行われた。宮迫と亮は黒いスーツで、冒頭から何度も、詐欺被害者や関係者に向け「不快な気持ちにさせてしまい、本当に申し訳ございませんでした」と深々と頭を下げた。

当初、反社会的勢力からのギャラは受け取っていないとうそをついていた。騒動は収まることなく、罪悪感にもさいなまれ、謝罪会見を開きたいとの希望は、先月から吉本興業側に伝えていたという。しかし会社の指示は「静観」だった。

会社からの圧力を明確に感じたのは、先月24日に謹慎を告げられた時だった。亮が「辞めてでも、僕1人でも会見をさせてくれ」と申し出ると、吉本興業の岡本昭彦社長が弁護士、社員を部屋の外に出し、宮迫、亮、ガリットチュウの福島善成、レイザーラモンHGが残された。宮迫は「岡本社長がまず言ったのは『お前ら、テープ回してへんやろな』でした。回してませんと答えると、岡本社長は『辞めて1人で会見したらええわ。やってもええけど、全員連帯責任でクビにする。俺には全員クビにする力がある』と言いました。全員、何も言えなくなりました」と振り返った。

謹慎期間中も宮迫は、引退会見でもいいので謝罪を示したいと申し出たが、進展しなかった。宮迫は「1カ月、2カ月と引き延ばされ、うやむやになる」と感じ、弁護士を立てての話し合いを決めたという。

結果的に弁護士を立てたことが、2人と吉本興業との間に深い溝を生んだ。亮は「会社を攻撃したいとは1ミリも思っていなかった。第三者の目という形で弁護士さんを入れたかった。吉本も最初は『いいやん』と言っていた。実際に弁護士が来ると、急に態度が変わった」と話した。

今月18日に書面で、「引退」か「契約解除」の二者択一を迫る書面が届いた。一部では、謝罪会見の選択肢があったと報道されたが、宮迫は否定した。同日、宮迫と亮は、岡本社長に面会を求めたがかなわず、弁護士との面会になったという。宮迫が引退会見を申し出ると、弁護士からは「その場合、会見は明日(19日)正午。今から2時間後にQ&Aを練習する」と告げられた。希望していた会見のネット配信も拒否された。2人は、吉本興業のコントロール外での会見開催を決めた。

亮は「(吉本興業の)弁護士さんが言うには、我々が弁護士を付けたことを上層部は悲しがってる、ファミリーだと。ファミリーなら、子供が正しいことを言って謝ろうとしてるのを止めるのは親ではない。不信感しかなくなってしまった。本当のことを言うのがどんどん遅れて、しんどくなった」と泣いた。2人とも吉本興業への感謝を示したが、思いに反し反旗を翻すことになってしまった。芸人引退は否定し、再起を望んだ。【小林千穂】