俳優遠藤憲一(58)主演のフジテレビ系連続ドラマ「それぞれの断崖」(土曜午後11時40分)の第2話が10日、放送される。

遠藤が演じるのはコンピューターメーカーに勤める志方恭一郎。深酒してかえった日に、家庭内暴力をふるう中学2年の息子が殺された報告を警察から受ける。加害者は13歳の同級生で、殺人を犯しても少年法で守られ罪には問われない。悲劇の夜、「被害者の父」は酒に酔い、怪しげな店で遊んでいたことが発覚。妻や娘たちに恨まれ、警察からも疑いをかけられる。加えて、加害者少年へ「絶対に許さない」と怒りを爆発させたことで、世間からの容赦ないバッシングを受ける。職を失い、家族の絆がほころび、やり場のない怒りを抱えた「被害者の父」は、息子の無念を晴らすために「加害者の母」で、はかなげな美しさを持つシングルマザーの八巻はつみ(田中美里)に身分を偽り近づいてゆく。作家小杉健治氏の同名小説が原作。

加害者の母を演じる田中美里(42)は「オファーをいただいた時、すごく難しい役だけど、こんなにやりがいのある役はめったにないので絶対やりたいと思いました。母親は何度も演じてきましたが“殺人者となる子を持つ母”というのは初めてなので想像してもし尽くせず。また禁断の愛に落ちる役というのも初めてで、単に艶っぽいというだけでなく、そういったシーンに葛藤や悲しみ、それこそ純粋さも入り交じったような感情も含めて表現しなければならないので、とても難しいと思っています。遠藤さんとは19年ぶりの共演です。先日そのドラマを見返して、遠藤さんが多くを語らず憂いを目で表現していて、改めて志方役にぴったりだと思いました。(遠藤の妻役の)田中美佐子さんとは初共演です。すごくナチュラルに繊細な部分まで表現される方なので間近で見て学びたいです」と話している。

第2話では、息子の恭介(渡邉蒼)を殺したのが同級生の八巻満(清水大登)であること、少年法上まだ13歳の満は犯罪者にはならないということを知り、激怒する志方(遠藤)。さらに、不登校や家庭内暴力などの問題があった恭介の側にそもそも事件の原因があったのではという臆測記事が出て、志方や妻の雪子(田中美佐子)、長女の真弓(仁村紗和)らは怒りに震える。

志方は出版社に勧められて、反論の手記を出すことに。少年を殺意むき出しで激しく糾弾する内容と、さらには編集部が企画した座談会でも満への憎しみを感情的にぶちまけたことで、世間から猛烈なバッシングが巻き起こる。恭介側の家庭の問題や、事件当夜に志方がいかがわしいデートクラブにいたことも発覚し、志方家や職場にまでマスコミが押しかける事態に発展してしまう。

一方、満の母・はつみ(田中美里)は、息子が犯した罪に打ちひしがれながらも、せめて志方家に謝罪したいと申し出るが、弁護士・若菜(内田滋)に「その必要はない」と止められる。警察は、高城秀子(黛英里佳)という女性に対する暴行事件にも満の関与を疑っていた。はつみは、理解しているつもりでいた息子の正体のしれない部分を突きつけられ、戸惑うばかりだった。

志方は、事態を重く見た会社から休職を命じられる。雪子もフラワーアレンジメントの講師を辞めざるをえなくなり、真弓は婚約者の父親から婚約破棄を告げられてしまう。恭介の事件と、志方の言動が引き起こしたバッシングは、志方家に大きな暗い影を落としていた。

そんな中、満が高城秀子への暴行を認めたという知らせが入る。満は、恭介と共謀してやった、10万円を恭介に脅し取られた、と供述していると言う。信じられない志方だったが、恭介の部屋を探すと供述通りの10万円が見つかり、ぼうぜんとする。

恭介は、秀子に憧れてラブレターまで書いていたのだ。彼女を襲ったりなどするはずがない。恭介のことは信じている…。真実を求めて、志方はある無謀な行動に出る。