若手俳優発掘プロジェクトとして舞台「転校生」(27日まで)が17日から東京・新宿の紀伊国屋ホールで上演される。高校生たちの1日を描いた平田オリザ作品で、演出は本広克行氏。応募総数2128人からオーディションで選ばれた男子校版21人、女子校版21人が交互出演する。

男子校版に出演の松本翔太郎(28)は大学時代に音楽活動を始め、今回が初舞台。「応募条件の『役者として覚悟が決まった人』にひかれた」。8年前に「役者をやらないか」と誘われ、当時は断ったが、音楽活動中も頭の中にあった。「声と体を使った表現がしたくなり、声を掛けてくれた事務所の門をたたいた。タイミングに恵まれた」。

女子校版の天野はな(23)はこまつ座「イーハトーボの劇列車」イキウメ「散歩する侵略者」など話題作に出演した注目女優。「作品を読んで、絶対にやりたいと思った。私が出ないなら、上演しないでほしいと思ったくらいです」。

出演者は年齢も経歴もさまざまだが、稽古を経て一体感も高まっている。松本は「再び青春をしている感じ。自分も生まれ変わる予感がある。さまざまな役が演じられる俳優に」と言えば、天野も「みんなが真剣に向き合っている。ここで生まれるエネルギーは今しかない。この役を任せたいと思ってもらえる役者になりたい」。この舞台から次代のスターが出そうだ。【林尚之】