俳優遠藤憲一(58)主演のフジテレビ系連続ドラマ「それぞれの断崖」(土曜午後11時40分)の17日放送の第3話の視聴率が2・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と19日、分かった。前回の2・2%より0・4ポイント、アップした。

前回まで3・9%、2・2%だった。

名古屋地区は5・8%、関西地区は4・9%だった。

遠藤が演じるのはコンピューターメーカーに勤める志方恭一郎。深酒して帰った日に、家庭内暴力をふるう中学2年の息子・恭介が殺された報告を警察から受ける。加害者は13歳の同級生・八巻満で、殺人を犯しても少年法で守られ罪には問われない。悲劇の夜、「被害者の父」は酒に酔い、怪しげな店で遊んでいたことが発覚。妻や娘たちに恨まれ、警察からも疑いをかけられる。加えて、加害者少年へ「絶対に許さない」と怒りを爆発させたことで、世間からの容赦ないバッシングを受ける。職を失い、家族の絆がほころび、やり場のない怒りを抱えた「被害者の父」は、息子の無念を晴らすために「加害者の母」で、はかなげな美しさを持つシングルマザーの八巻はつみ(田中美里)に身分を偽り近づいてゆく。作家小杉健治氏の同名小説が原作。

第3話で、傷害事件で意識不明の状態だった高城秀子(黛英里佳)が意識を回復し、志方の元を訪れる。満をそそのかし、秀子から金を取ろうとしたと疑われていた恭介だが、秀子は「恭介君が満をそそのかしてお金を取ろうとするなんてありえません。私たちはお付き合いしていたんです」と言う。

たった14年でその人生を閉ざされてしまった息子・恭介が、親の知らぬ間にしっかりと大人への成長を見せていたことに心を熱くする志方と雪子(田中美佐子)。「あなたに恋して、夢を追っていた恭介がいたんですね…」と2人は平静を取り戻す。

一方、殺人を犯した息子・満に家庭裁判所での審判が迫っていることを知った母・はつみ(田中美里)は、不安に駆られていた。「審判には、被害者家族の方もいらっしゃるんでしょうか」と口にする。

事件を巡る志方の過激な言動が問題視されたため、今回の審判に被害者家族の傍聴は認められなかった。「なぜ、私たちが傍聴できないんですか」。自分のせいで息子の事件の真相も、殺人犯・満に下される裁きも、まったく情報をもらえないという状況に、志方のやり場のない鬱屈(うっくつ)はたまる一方だ。

なんとしても審判を傍聴したい。志方は満の担当弁護士・若菜の事務所へ押しかけるが、そこで加害者の母・はつみに遭遇。初めて目にするその姿に、憎しみに燃える志方。人ごみに紛れ土砂降りの中を家路へ急ぐはつみの後をつける。住居と勤め先のクラブ「マリー」を突き止めた志方は決意する。直接会って謝罪させると。

家庭裁判所の審判が始まった。満は、はつみの呼びかけに一切反応せず、いきなり話し始める。「僕、警察にうそをつきました」。騒然とする審判廷。ぼうぜんとするはつみ。

少年鑑別所に戻った満の面会に赴いたはつみだったが、息子は母親の姿を見るなり激高し椅子をたたきつける。「何で来たんだよ! 出ていけっ、クソババア、二度と来るなっ」。

どんなことがあろうと息子を信じてやりたい。悲壮な覚悟を決めていたはつみだったが、震える声で付添いの弁護士の若菜に「もうあの子は私の手に負えないのかもしれません」と訴えた。

悲しみを押し殺し「マリー」で笑顔を振りまくはつみを指名する1人の客がいた。笑顔で近づくはつみをにらみつけていたのは、志方だった。