歌舞伎俳優中村梅丸(22)が11月の東京・歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」で初代中村莟玉(かんぎょく)を名乗ることが決まり、23日、都内で、師匠の中村梅玉(73)とともに発表した。梅玉の養子になることも発表された。

15年前に梅玉の元に行き、その2年後に部屋子になり修行を積んできた。女形として着実に人気、実力をつけ、イケメンでキュートな風貌から、まるちゃん、まるるの愛称で呼ばれることも。梅丸は「15年前はまさかこんなことになるとは思いませんでした。本当にうれしく思っています。幸せをかみしめながら一生懸命、頑張りたいです」、梅玉は「役者としてのスタートラインに立ったと思います。私もともに精進していきたい」と話した。

近い身内に歌舞伎俳優がいない、いわゆる一般家庭の出身。片岡愛之助(47)が、片岡秀太郎(77)の部屋子、養子になった例はあるが、そう多くない。梅丸は「子供の時、ウルトラマンか電車の運転士か歌舞伎役者になりたかったのですが『ウルトラマンと同じくらい(歌舞伎役者には)なれないよ』と言われていました」と明かした。「役者として歌舞伎に携わることだけでも夢がかないましたが、今回のお話は自分のこととして想定できませんでした」と謙虚に語る。

現在は女形が中心だが、梅玉が得意とする貴公子や大名など、品のある立役にあこがれる。披露演目「鬼一法眼三略巻 菊畑」で演じる虎蔵実は源牛若丸もその1つで「師匠が得意にしているお役にあこがれます。欲張りかもしれませんが女形も勉強していきたいです」と意欲的だ。

莟玉の名前は、梅玉の養父で6代目中村歌右衛門さんが若いころに開いていた公演「莟(つぼみ)会」から取った。梅玉は「本人の努力次第」と、若いつぼみにエールを送った。【小林千穂】

◆中村梅丸(なかむら・うめまる)1996年(平8)9月12日生まれ。本名・森正琢磨。2~3歳の時に歌舞伎に出会い、7歳の時に中村梅玉の元に紹介された。05年1月国立劇場「御ひいき勧進帳」で、本名で初舞台。06年4月に梅玉の部屋子となり、歌舞伎座「沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)」などで中村梅丸を名乗る。19年11月歌舞伎座で中村莟玉を名乗る。