新聞業界に身を置く人たちは、皆、感謝していることだろう。女優土屋太鳳(24)が29日、都内で開催されたジャパンジュエリーフェア2019「ジュエリー業界が選ぶ“第7回ウーマンオブザイヤー”」表彰式に出席し、コメントした。

「今は勉強の時期だと思うんです。なので、忙しい時には新聞を読むようにして、時間がある時は人に会うようにしています。新聞は1部であれだけの情報量が入っていてすごいなと思うのと、大根を包むのにもいいですよね」

どの新聞を読んでいるかは明かしていないが、日刊スポーツ新聞社勤務30年目の私自身も「ありがたい」と思った。弊社も含めて多くの新聞社が、「ウェブファースト」にシフトしているものの、新聞で情報を得る人たちは、まだまだいる。土屋の言うように、情報量は満載で読み終わった後は、大根を包んだり、引っ越しの際に陶器を包んだりできる。

ただ、新聞作りの過程を考えると、「時には大事に保存してほしい」と思う。記者が原稿を書き、カメラマンが写真を撮り、整理部がレイアウトをして見出しをつける。そして、制作、印刷、運搬、配達とつながって皆さんの手に届く。広告、販売担当者の思いも1部に詰まっている。30日の紙面では、3面で「ラグビーW杯日本代表31戦士保存版ニッカン式カード名鑑」を掲載。これは、日本にとって初戦となる9月20日のロシア戦、それ以降も残してほしい。初めての自国開催W杯で日本代表に選ばれた31人の写真、データは大会後、史料になるからだ。

私自身も、自分が取材して思い出深い記事が載った新聞を保存している。例えば05年2月14日付で、1面の見出しは「藍 涙の世界一」。南アフリカで開催された第1回女子ゴルフW杯最終日の記事だ。宮里藍は、今の渋野日向子より、1歳下の19歳にして、北田瑠衣(当時23)と組んで優勝した。その現場にいれた感謝は、今も胸の中にあるが、当日の3面では、長嶋茂雄さん(当時68)がマヒの残る右手でサインを書いたことを伝えている。5面では、新球団の楽天でドラフト7位の平石洋介(当時24=現楽天監督)が、初の紅白戦で「球団第1号」の本塁打を放ったこと。芸能面では、堀江貴文氏(当時32)が仕掛けたフジ・サンケイグループ買収騒動の関連記事を掲載していた。14年前の新聞だが、そのものを残していたから、こうして楽しむことができた。

既に実践されている方もいると思うが、誕生、就職、進学、結婚など、大切な記念日に発行の新聞を残していれば、何年か後に「ああ、当時はこんなことが」と思い返すことができる。新聞は時代を映す鏡。今後とも、情報満載で保存性のある日刊スポーツをよろしくお願いいたします。【柳田通斉】