昨年7月に都内の自宅で、派遣型マッサージ店の女性従業員に乱暴したとして強制性交罪で起訴された俳優新井浩文(本名・朴慶培)被告(40)の初公判が2日、東京地裁で開かれた。

新井被告は女性に謝罪の言葉を述べた上で「暴力は一切、やっていません。同意があったと思っています」と起訴内容を否認した。この日は被害者女性が証人として出廷。別室にいる女性と映像と音声を通じて行うビデオリンク方式の証人質問で、当時の状況を詳細に明かし「(同被告に)刑務所に入って反省してほしい」と訴えた。次回は今月26日に行われ、被告人質問が行われる。

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この日は、女性従業員が証人として出廷。法廷と別室を映像と音声でつなぐビデオリンク方式で証人質問が行われた。

検察側の質問では、新井被告が利用したマッサージの料金は1万8500円。内訳は90分の料金が1万4000円、交通費3000円、指名料が1500円だったという。女性は健全な店と認識、セラピストとしてやりがいを感じていた。

昨年7月1日の深夜、新井被告から指名された際、同僚女性から「気をつけて、と言われました」と明かした。

新井被告はトランクスタイプの紙パンツ、女性はTシャツにストレッチタイプのズボン姿。足のマッサージをしていると、新井被告が「興奮している感じで、息づかいが荒くなり、陰茎が大きくなっているような感じがした」といい、「もっと奥」と陰茎部への施術を求めた。女性は「無理です」と拒否したが、右手をつかんで股間に押し付けてきたという。

その後、服を脱がされ、胸をなめられ、陰部を触られ、両手で頭をつかまれ陰茎を、口の近くに押し当てて「なめて」と求めたという。

女性は必死に「入れないで」と、足を閉じるなど抵抗したが強制的に性交させられてしまったという。女性は行為の合意について「していません。自分から受け入れたことは1回もありません」と断言した。また、帰り際、新井被告はお札を女性に渡したという。女性は拒否も「バッグのポケットに押し込まれた」と明かした。女性は「自分のことを物みたいに扱って、すごく悔しい。お金で何もかも解決できると思っているとすごく悔しかった。刑務所に入って反省してほしい」と強い口調で訴えた。

一方、弁護側の質問ではけがや暴行、脅迫などの有無を確認した。「危害を加えるような言葉はなかった」との質問には、「はい」。けがなども「ないです」と証言した。また、被害届や供述調書に、この日、法廷で述べた「陰部を触れた」など記述がないことを指摘されると、新井被告が逮捕されたことを受け、思い出したと曖昧な部分も指摘された。さらに、「被害弁償金」として女性に1000万円、起訴直前に2000万円の支払いを申し出たが、女性が拒否し、示談は成立しなかったことも明らかにした。新井被告は、女性が証言した発言部分をひんぱんにメモしていた。