毎年「国際演劇年鑑」を出しているところから連絡があった。4日に東京ドームで「お別れの会」が行われたジャニー喜多川さんについての原稿を頼まれた。

「国際演劇年鑑」は国内外の舞台芸術の状況をまとめたもので、1972年(昭47)から毎年発行している。日本語版と英語版があって、日本語版は日本国内と世界約30の国・地域の舞台芸術について、各国の専門家が原稿を寄せ、英語版は日本国内の舞台事情を英訳して発行している。

その「年鑑」に、ジャニー喜多川の舞台の仕事について書いて欲しいというのだった。タイトルは「演劇界におけるジャニー喜多川さんの仕事」。ジャニーさんは男性アイドルのグループ・歌手を数多く生みだし、日本のエンターテインメントを変えた人だけれど、演劇の世界でプロデューサー、演出家として数々の舞台を送り出し、成功してきた人でもある。

もともと、ミュージカル映画「ウエストサイド物語」を見て触発され、この道に進んだだけに、舞台には並々ならぬ情熱を注ぎ込んだ。「年鑑」では最近、蜷川幸雄さん、浅利慶太さんと日本を代表する演出家を取り上げているが、ジャニーさんは蜷川さん、浅利さんとも親交があり、舞台でも確かな仕事を残してきた。「お別れの会」でいただいた小冊子には、ジャニーさんの舞台作品の上演記録が掲載されていたが、その数は100本を軽く超えている。英語版は、各国の主要大学図書館、国立図書館などにも寄贈されるという。【林尚之】