吉本興業所属の落語家桂文珍(70)が9日、新作落語に闇営業騒動を取り入れたことを明かした。

この日、都内で「芸歴50周年記念 桂文珍 国立劇場20日間独演会」(20年2月28~3月8日、3月15~24日、東京・国立劇場大劇場)の発表会見を行った。

「私が、ご承知かと思いますが、桂“コンプライアンス”文珍でございます」とシュールな笑みを浮かべて登場した文珍は、この夏の闇営業騒動を新作に取り入れる気はないかと質問されると「『スマホでイタコ』という噺(はなし)の中には、もうちゃんと入れております。アプリで、反社(反社会的勢力)の人に会うと警報が鳴るというもの。そして、自分に向けたら鳴るというギャグで、誰もが傷つかないようになっております」と説明した。さらに「5時間かけた記者会見はやりませんから」と、岡本昭彦吉本興業社長の会見をいじった。

「スマホ-」では、この世とあの世がスマホでつながっているという新作落語。「あの世で、(先代桂)文枝、(桂)米朝、(笑福亭)松鶴、(先代桂)春団治が、ジャニーさんに『亡者ニーズ』というグループを組まされるという噺でして、世の中の動きを随時、取り入れております」と笑った。

1日2演目で20日間、合計40演目で総席数3万2000席超えの興行となる。ゲストに日替わりで桂文枝、笑福亭鶴瓶、春風亭小朝、三遊亭円楽、柳亭市馬、春風亭昇太、三遊亭小遊三、立川志の輔、立川談春、柳家喬太郎、柳家三三、春風亭一之輔、林家正蔵、林家たい平らの人気者が出演する。

文珍は69年10月に3代目桂小文枝(先代文枝)に入門。「50年もやってまいりましたので、1つの区切り」と、独演会について説明した。「10年前に国立劇場で10日間やって楽しかったので、今回は20日間貸してもらえないかと。20日間で40本の噺を一気呵成(かせい)にやらしていただこうと、鉄板ネタを。2020年は五輪の年ですから、おしゃべりのアスリートとして、話芸の楽しさを伝えたい」と話した。

国立劇場で20日間の独演会は史上初。20人のゲストは、1年以上前に会場が決まった時点から文珍自らが選び、依頼した。「1600人の会場を20日間、3万000人動員しなければなりませんからね。それぞれの師匠に足を運んでお願いしました。『来ないでくれ』という(立川)談春のような男もいましたが」と笑った。