米俳優ブラッド・ピット(55)が12日、東京・日本科学未来館で、映画「アド・アストラ」(20日公開)記者会見に出席した。

同作は、太陽系のかなたに消えた父の謎を探り、衝撃の救出ミッションを描く壮大なスペースアクション作。すでに“ブラッド・ピット史上最高の演技”ともいわれている。

同作では製作も兼務した。「プロデューサーと演技は責任が増える。でも、毎日が試行錯誤と挑戦の連続だった。昼間は俳優で朝と夜はプロデューサー。まるでルービックキューブをやっているようだったよ。中でも、1番の挑戦は宇宙服を着ることだった」。

意外だが宇宙飛行士役は初めて。「このジャンルに挑戦しなかったのはすでに優れた作品があるから。やるなら違うチャレンジングなものにしたかった」。役作りでは過酷な訓練も行った。「まるでピーターパンのようにワイヤにつるされた。重い宇宙服を着てのワイヤはきつかった。トレーニングではどこまで吐かずに耐えられるかをテストされた」と明かした。

自分と向き合うこと。そんな身近なテーマを壮大なスケールで描いている。「自分を押し殺してきた男が、宇宙の果てで自分と向き合うことになる。映画は人間の葛藤にスポットをあてることができるのが魅力であり、本当の力だと思う」と力説した。

今回、台風15号の影響で来日が遅れた。「今度こそ日本を満喫するつもりで早く来るつもりだったけど、台風の影響でかなわなかった。今回は東京だけでなく、田舎にも行きたい。コイを養殖しているところに行きたいね。コイが好きで、コイの話なら1時間できるよ!」と笑った。

日本科学未来館毛利衛館長と宇宙飛行士山崎直子氏がゲストで登壇した。

毛利館長は「92年の今日、私が宇宙に飛んだ日。そんな日に来てくれてうれしいです。映画を見て、胸を打たれた。宇宙飛行士はチームワークが大切。演じる表情が繊細で本物以上。すごい俳優だと驚いた」。山崎氏は宇宙飛行士の立場から「(宇宙飛行は)子どもや家族に心配をかけるので心をえぐられる作品でした。いつの日か、ブラッド・ピットさんが本当に宇宙に行くことを願っています」と話した。

そんな2人にピットから「1つ聞いてもいいかな」と切り出し、「宇宙から見た地球はどうだった」と質問した。山崎氏は「理屈ではなく身体に入ってくる感覚で、地球が生き物のような感覚だった」と答えた。ピットの「もう1度行きたい」に山崎氏は「はい」と笑顔で答え、毛利館長は「今度は火星に行きたい」とほほ笑んだ。