演歌歌手市川由紀乃(43)が15日、岩手県宮古市で「宮古復興親善大使」に任命され、宮古復興応援歌の「三陸宮古音頭」「宮古魚介づくし」の2曲を初歌唱した。

11年3月の東日本大震災で死者・行方不明者が600人以上、家屋倒壊が9000戸以上の大きな被害を受けた宮古市。震災後、市川は公演やキャンペーンなどで何度も同市などの被災地を訪問し、「歌での復興支援」に尽力してきた。

今回はその実績と、地元ファンの熱烈な要請があって市川に白羽の矢が立った。「埼玉県出身なのですが、すばらしいお話をいただいて幸せです。微力ながら復興応援歌を全国に発信していきます。使命感を強く持っているし、責任をかみしめています」と表情を引き締めた。

山本正徳市長(64)は市川に委嘱状を手渡す際に「復興応援歌が市民の愛唱歌になるように務めたい」。初の復興親善大使に任命した期待の大きさと意気込みを語りながら固い握手を交わした。

この日夜、市川は「第35回みやこ秋まつり」に参加。「由紀乃号」と名付けた船山車に乗ってパレードも行った。「船にも乗れてすごくうれしいです。また1つ、心の故郷ができました」。復興応援歌には振り付けがあるが、まだ完成していない。「来年には宮古のみなさんと一緒に踊って楽しみたい」と来年の祭りへの参加も誓っていた。

ファンからは、激励の声や紅白歌合戦への3度目の出場への期待も寄せられた。「宮古の人たちへのプレゼントになると思いますが、年内を精いっぱい駆け抜けるだけです」。夢舞台への返り咲きに静かな闘志を燃やした。