東京・新宿にある老舗歌声喫茶「ともしび」で、オリジナル曲「花が咲く日は」が18年5月から16カ月連続リクエストチャート1位を獲得するなど、中高年を中心に絶大な人気を誇る5人組男性コーラスグループ、ベイビー・ブーが毎月、各地にある老人ホーム「ベストライフ」を訪れ、ミニコンサートを開催している。

「ドレミの歌」「夏の思い出」「高校三年生」など童謡や歌謡曲を披露すると、てばたきや口ずさむ人、美しい歌声に感極まる人など会場は笑顔と感動に包まれる。レパートリーは800曲。その他の曲でもリクエストを受ければ即興できるので無限に近いレパートリーを誇る。まさに“動くジュークボックス”だ。

歌声と軽妙なトークで瞬く間に入所者たちの心をつかむ。コンサート終了後には「楽しかった」「ありがとう」「また、来て」と感激と感謝の声があふれた。シノブ(42)は「うれしいという気持ちがにじみ出てくれるのは僕たちもうれしい」と笑顔を見せる。

02年にメジャーデビュー。05年発売の「一歩ずつの勇気」が30万枚のセールスを記録して注目を集めた。その後、苦しい時期もあったが、11年から拠点の1つにしている「ともしび」での経験がグループの方向性を変えた。それまでJ-POPを中心に活動していたが、童謡や歌謡曲にも挑戦。コーラスグループの大先輩、ボニージャックスからは、後継指名を受けた。リーダーのユースケ(39)は「それまでは、自分たちの技術的な部分がメインで恩着せがましいようなハーモニーだったが、聞いてくれる人に寄り添えるようになった」とし、「今後も施設を訪れ歌声を届け続けたい」と話す。夢は日本武道館での公演だ。「絶対に実現させたい」とメンバーたちは力強く語った。【上岡豊】

◆うたごえ喫茶ともしび 1954年(昭29)年、東京・新宿で開業。学生や青年を中心に昭和30~40年代に大ブームとなった歌声喫茶の草分け的な店舗。昭和歌謡、フォークソング、童謡、シャンソン、ロシア民謡など、さまざまなジャンルの歌を司会者のリードのもと、生の伴奏で歌う。