宝塚歌劇団の元月組トップ娘役、愛希(まなき)れいか(28)が19日、大阪市内で、ミュージカル「ファントム~もうひとつのオペラ座の怪人~」取材会に臨み、「新たな挑戦になるなと思います」と語った。

愛希は09年に男役として入団。11年に娘役に転向し、12年4月にトップ娘役に就き、龍真咲(りゅう・まさき)、現トップ珠城(たまき)りょうの相手役を務め、昨年11月に退団した。

在団中は「ロミオとジュリエット」「ベルサイユのばら」「エリザベート」など、話題作や大作に出演したが、「ファントム」は「見るものだと思っていました」。

宝塚にあこがれていた少女時代、和央ようかの「ファントム」を見て、ヒロインのクリスティーヌを「娘役らしい、かれんでかわいい少女」とあこがれていた。「でも、歌(のキー)が高くて、自分がやるものではないと思っていました」。退団後は発声練習もし直した。

昨年末、愛希の退団直後、雪組で「ファントム」が上演され、観劇。望海風斗(のぞみ・ふうと)、真彩希帆(まあや・きほ)のトップコンビによる主演は、劇団きっての歌唱力、表現力で評判が高く、愛希も「望海さんの(同作への)思い入れも知っていたので、ただ、すごい…と感激していました」と振り返った。

昨秋の退団後、初作品が「エリザベート」で、今作が2作目。今回は退団後初の大阪公演もあり、クリスティーヌに「卒業した後にこの役をいただき、正直、驚いています。歌が鍵になる作品。オペラ座への出演を夢見ている少女。私も田舎(福井)から、宝塚だけを夢見て、目標にきましたので似ています」と言い、実体験を投影しつつ、役を作る考えだという。

ヒロインは木下晴香とのダブルキャスト。エリックは加藤和樹、城田優が演じる。男性との共演も「声を聴くのも、合わせるのも(退団後は)初めてだったので、すごくプラスになって、いい経験です」。ただ、前作「エリザベート」で、スタッフらから「宝塚っぽくしなくていい」と言われて悩む日々とも吐露した。

宝塚では、男役が絶対優位で、娘役はあくまでも「相手役」。必然的に抑える演技、表現が求められる。男役出身で、劇団時代は比較的強さのある娘役だった愛希も「遠慮がどこかにあったと思う。もっと殻を破りたい。もっともっと、自由に表現していきたい」と言い、稽古に取り組む。

退団後は私生活では大きな変化こそないものの「時間ができたので、ドラマがぴったりで(リアルタイムに)見ることができてうれしいです」と笑う。

仕事では大作続き。「重い作品が続いたので、明るくハッピーな作品や、映像の世界にも興味がありますし、いろんな方向に進みたい。(ダンスも武器だっただけに)踊る作品にも出たい」と話していた。

東京公演は、TBS赤坂ACTシアターで11月9日~12月1日、大阪公演は、梅田芸術劇場で12月7~16日。