加藤健一事務所公演「パパ、I LOVE YOU!」が10月11日から20日まで東京・下北沢の本多劇場で上演される。

大事な講演会を直前に控えた医師デーヴィッドが、かつて関係を持った元看護師の登場で、口から出任せを連発して難局を逃げ切ろうと大奮闘する、英国の劇作家レイ・クーニーの爆笑喜劇。10年ぶり3回目の上演となる。

主演で演出も兼ねる加藤健一(69)は「作品を読んだ時、『こんなに笑える芝居があるのか』と思った。お客様がイスから笑い転げるほどの作品は初めてだった」と振り返る。94年に初演し、09年の再演から演出も行った。「主役を演じながらの演出は大変だった。お客様は笑ってくれたけれど、いつか出演と演出の両面で100%以上の力を出したいと思っていた。今回その機会を得たので、これまで以上に舞台上を駆け回りたい」。

今回、清水明彦、日下由美、加藤忍らが共演する。加藤によると、演出のポイントは3つという。「1つ目は芝居を作っていく過程で、物語が進むさまざまなきっかけを大切にして、台本に忠実になること。2つ目は、出演者のキャラクターの色をはっきりと付けること。3つ目は、出演者に誠実でウソのない演技をしてもらうこと。コメディーだから笑わせようと崩したら、全体が崩壊してしまうから」。

10年ぶりの上演となるが、加藤は「最近、世の中から笑いが少なくなっていると感じる。また、子供はたくさん笑うけれど、大人になるにつれ笑いが減ってしまう。たくさん劇場で笑って、たくさんの元気を持ち帰ってほしい」と話している。