落語家三遊亭とむ(35)が16日、東京・丸の内の東京国際フォーラムのホールCに1500人を集めて独演会「スーパー落語 ラブファントム2019」を開いた。新作落語「“ん”のない女」「天狗裁き」「妲己(だっき)のお百」の3席を演じた。

1年かけて練り上げた自作の新作「“ん”の-」の後は、「天狗-」でワイヤを使っての宙乗りをしながらの落語を披露。てんぐにうちわで吹き飛ばされる場面で、10メートルの高さまで上昇、前に10回転するアクロバティックな大技で大きな拍手を浴びた。てんぐ役で「飲み屋で出演依頼された」という、フジテレビ系連続ドラマ「まだ結婚できない男」(火曜後9時)にレギュラー出演中の俳優尾美としのり(53)がサプライズで登場した。

「妲己のお百」は11年に亡くなった立川談志が講談から移植したネタ。談志の弟子の立川談修(46)から稽古をつけてもらった。笑うところのない、希代の悪女を描いた怪談。地ばなしが多い、新たな分野への挑戦だ。やるきっかけは、浮気をとぼける悪女のおかみさんが登場する「紙入れ」をやった時に、客から「悪い女が似合う」と言われたことだという。

とむはフライングについて「ジャニーズの『滝沢歌舞伎』を見てヒントを得ました。太鼓を取り入れてオマージュをささげました。今までにない落語をお見せできたんじゃないかと思います。ライバルはスーパー歌舞伎。年に1回はスーパー落語家としてフライングを見せたい。夢は真打ち披露を日本武道館でやって、8000人の前で飛ぶことです」と話した。