24日に亡くなっていたことが分かった女優八千草薫さん(享年88)への思いを、俳優田中健(68)が28日にブログに記した。

田中は、自身のデビュー作、74年の日本テレビ系「春のもつれ」で八千草さんと共演した。「八千草さんは僕が最初に芝居をして、初めてせりふを受け止めてくださった女優さんです。次元の違う美しさ」だったと記した。八千草さん演じる画家を慕う青年役だったが「役作りなどまったくいらないなぁと心が動いたことを今でも覚えています」と振り返った。

75年、同局系「俺たちの旅」では親子役で共演。田中は、周囲からダメオと呼ばれ、ダメオを逆にしたオメダのニックネームを付けられた青年を演じた。オメダを見守るのは、常に八千草さん演じる美しい母だった。田中は「ダメな息子役を演じさせていただきました。なんとうれしかったことか。僕はまだ芝居が下手で不安も大きな日々でしたが、あの、八千草さんなら広い心で受け止めてくださる、そんな安心感がありました」。

田中は「それから40年以上の歳月が過ぎていますが、どこでご一緒してもまったく変わらない妖精のような女性ですから、八千草さんが天に召されるというのが不思議でなりません。ある意味、本来のお姿に近くなられた? ということでしょうか? 残された僕らは寂しいかぎりです。ご冥福を心よりお祈り申し上げます」とつづった。