27日の午後にダウンタウン松本人志(56)がツイッターで「今回のワイドナショーは数日前の収録です。ですのでタイムリーな話題にあまり触れられてなかったですね~かしこ。」と、つぶやいた。

明石家さんま(64)が吉本興業から契約解除された宮迫博之(49)を囲む会の招待状を業界関係者に送った件、チュートリアル徳井義実(44)の1億3800万円に及ぶ申告漏れの件。松本に近しい人間たちの騒動が世間をにぎわす中、コメンテーターを務めるフジテレビ系「ワイドナショー」(日曜午前10時)で、松本がどんなコメントをするかに注目が集まっていた。それだけに、視聴者に対する謝罪と無念の気持ちがにじみ出ていた。

この夏の吉本興業の闇営業騒動で、吉本一の売れっ子である松本と、そのツイッター、そして「ワイドナショー」は常に注目を集めていた。

闇営業騒動の雨上がり決死隊・宮迫博之(49)とロンドンブーツ1号2号・田村亮(47)が7月20日に涙の謝罪会見を開いた。松本は、その夜にツイッターで「後輩芸人は不安よな。松本 動きます」とつぶやいて、大阪から新幹線で東京に戻って、吉本興業の東京本社入り。大崎洋会長、岡本昭彦社長に直談判して、翌21日の「ワイドナショー」の生放送を実現させた。

厳しいスケジュールの中、夜遅くまで直談判、そして翌日の生放送。全てに付き合わされた記者は、松本人志という芸人の空気を読む力、メディアを動かす力に恐れ入った。

徳井の申告漏れが発覚した直後の25日の金曜日。フジテレビの定例会見があった。その後にスタジオに、こっそり行ってみた。毎週金曜収録で、日曜放送が「ワイドナショー」の決まったスケジュールだった。もしかしたら、宮迫か田村亮あたりが、こっそりゲストになってないかというスケベな記者根性だ。

松本が局に出入りする時は、フジテレビの幹部がズラリと並んでお出迎え、お見送りをするのが常だ。ところが、この日はいつもスタジオがもぬけの殻。フジテレビ中を歩き回り、ドラマを収録することが多い、歩いて15分くらいの湾岸スタジオもチェックしたが「ワイドナショー」の影も形もなかった。

その答えは、衝撃的だった。「2週間に1回、まとめて2本撮り」ということだった。情報バラエティーにとって、鮮度こそ命。低迷が続き、特に新しいバラエティーのヒットが生まれないフジテレビにとって、13年10月に始まった情報バラエティー「ワイドナショー」は新しい形のヒット番組だった。人気実力ナンバーワンの松本が、進行役を気心の知れた後輩の東野幸治に任せ、好き勝手にニュースを斬りまくる。

25日の定例会見では、フジテレビの遠藤龍之介社長(63)は、今の時代に求められるバラエティーについて「お笑い、エンタメに要求されるものが増えてきた。1テーマじゃなく、いろいろなテーマが求められる。バラエティー制作者は、いろいろなものを注入していかなくてはならない。それでも、バラエティーは市民権を得ると3年、5年と続く」と話していた。その直後の“2本撮り”発覚なだけに残念でならない。

27日のオンエア当日。裏のライバル、TBS「サンデー・ジャポン」(日曜午前9時45分)では、生放送で爆笑問題の太田光(54)が「徳井はルーズって言ってるけど自分ではルーズっていう自覚が無かったようにも思える」とコメントしていた。そのころ「ワイドナショー」は10日前の17日に行われたプロ野球ドラフト会議や、1週間前の20日のラグビーワールドカップ(W杯)「日本対南アフリカ」について放送していた。

スケジュールの問題や制作費の問題も2本撮りの方が楽だし、安上がりだ。だが、どちらも人気者が、世相を斬る番組。視聴者の目はごまかせない。一時期の低迷から底を打って、上昇の兆しを見せてきたフジテレビだけに残念でならない。

ツイートした松本も、そんな気持ちだったのだろう。