嵐が9日、東京・皇居前広場で開催された天皇陛下の即位を祝う民間主催の「国民祭典」の祝賀式典に出席し、両陛下が二重橋から見守られる中、奉祝曲を披露した。

壮大で温かみと優しさがあふれる楽曲を歌い上げると、皇后雅子さまは感動で涙を流された。同祭典は財界などでつくる「天皇陛下御即位奉祝委員会」と超党派の国会議員連盟などが主催で、1部2部を通して約6万人が参加した。

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嵐は、会場が厳かな雰囲気に包まれる中、相葉雅紀(36)を先頭にえんび服に身を包み、緊張した面持ちでステージに登場した。正門石橋に立つ両陛下に向かって深々と一礼し、両陛下がにこやかに応える中、奉祝曲を歌い始めた。

今回の祭典のテーマは「水」。陛下が学生時代から水上交通、環境、災害など水にまつわる研究をライフワークとしていることからテーマに決まったという。奉祝曲も同じく水がテーマとなっている。東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」などを手掛けた菅野よう子氏(55)は組曲「Ray of Water」を作曲した。「水に差し込むまばゆい光」という意味だという。

同曲は約13分にわたる3部構成で、第1楽章「海神」はオーケストラ、第2楽章「虹の子ども」は全盲のピアニストの辻井伸行氏(31)が演奏。嵐は第3楽章の「Journy to Harmony」をオーケストラと辻井氏の演奏をバックに歌唱した。同曲は、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」や「ちゅらさん」などの脚本を担当した岡田恵和氏が作詞を手掛けた。

曲は壮大で温かみと優しさあふれるバラードだ。5人でしっとり歌い始め、ソロパートではおのおのの美声を響かせ、最後はリーダー大野智(38)が締めた。両陛下は終始和やかな表情で聞き入り、時折、リズムに合わせ首を動かされる。また、演奏終了後には雅子さまが涙をぬぐう場面も見られた。

櫻井翔(37)はこの日午後、解禁となったばかりのツイッターを初更新。えんび服姿で動画に登場し「さあ、本日は嵐として一世一代の大仕事のリハーサルです。緊張します。行ってきます!」と、緊張と意気込みを語っていた。嵐は来年末での活動休止を発表しているが、大役を見事に果たし、新たな歴史と伝説を刻んだ。

○…第1部「奉祝まつり」には約3万人、第2部「祝賀式典」にも約3万人の延べ約6万人が訪れた。嵐が奉祝曲を披露した第2部の一般招待には9日間の募集期間に47万4176人が応募し、約1万人が当選した。また、会場の外にも入場できなかった人が多く集まり天皇陛下の即位を祝った。

◆奉祝曲 皇紀の即位などを祝うために作曲された演奏曲。天皇陛下の奉祝曲には交響舞楽「越天楽」(伊福部昭)「交響曲第一番」(橋本国彦)歌劇「黒船」(山田耕筰)などがある。