落語家桂文枝(76)の弟子、桂三金(本名・奥野武志=おくの・たけし)さんが9日、急死していたことについて、所属の吉本興業は11日、死因は脳幹出血だったことと、師匠文枝のコメントも発表した。

文枝は「突然マクラもなく本題に入り」「突然オチをつけて終わった感じ」などと、落語にたとえて表現しつつも、弟子の急死によるショックを語った。

三金さんは8日まで高座に出ており、関係者によると、9日朝倒れ、大阪市内の病院へ運ばれたが、同日夜亡くなったという。

文枝は「弟子の桂三金が、11月9日朝、自宅で倒れ、意識不明となり緊急入院致しましたが、その日の夜9時36分、あっけなく旅立ってしまいました」と報告。落語にたとえて「突然マクラもなしに本題に入り、これからどうなるのかと思う半ばで突然オチをつけて終わった感じでございます」とし、今後の活躍が期待される最中での旅立ちに「まだまだこれからなのに悔しくて悔しくてなりません。中途半端な終わり方をするなよ! と怒ってやりたい思いです」とも吐露した。

三金さんは、体重120キロを超える体が特徴的で、師匠の文枝と同じく関西大学の落研(落語研究会)の出身。金融関係の仕事を経て、94年に弟子入りした。大学の後輩でもあり、文枝の回りでよく世話をする姿がみかけられ、一門のムードメーカーで、まとめ役のような存在でもあった。

大阪・天満天神繁昌亭で開かれていた8日の「落語家25周年ウイーク」に出演しており、その後、文枝のもとへ「師匠に教わった『大・大阪辞典』ウケました」と、電話をしてきていたという。師匠と同じく創作落語を主戦としていた。

文枝は「(三金さん)自作の『長名の力士』もおもしろく、数年前に嫁さんももらい、まさにこれからという時だったのに、たった1日で目の前から消えてしまったことが信じられません。彼は弟子というより、弟みたいな存在でした。こんなことがあるのかと、まだ信じられないでいるのが、正直今の心境です」と、現実を受け入れられない衝撃度を明かした。

三金さんは、文枝の9番弟子。00年にはNHK新人演芸大賞の優秀新人賞を受賞。世代交代の進む上方落語界にあって、次世代を担う個性派はなし家として期待されていた。

通夜は12日午後7時から、告別式は13日午前11時から、ともに大阪市北区長柄西1-6-14「大阪北玉泉院」で行われる。喪主は故人の妻、奥野雅子さん。