来年春スタートのNHK連続テレビ小説「エール」の脚本家林宏司氏が途中で突然、交代することが先日、NHKから発表されました。異例の事態に、林氏の健康問題かとも思われましたが、取材すると、ある関係者からは演出家らNHKの制作陣と林氏の間で物語の構成、流れなどの考え方に違いが生じたことが原因の1つという声が聞こえてきました。

通常、脚本家と現場の制作陣は、互いに力や知恵を出し合い、意見をぶつけ合い、時に最初のプランに手を加えたりしながらも、いい作品にしようという1つの共通目標に向けて協力するものだと思います。

一方で、そうした中、時に、自分の信じたことを貫き、方針を曲げたくない、譲れないとこだわるプロがいるのも事実。プロ同士のぶつかり合いや意見の衝突、こだわりはドラマの制作現場に限らずとも、いろんな局面であるかと思います。複数の関係者を取材すると、今回は、そうしたプロ同士のこだわりがもたらしたケースのようにも思えます。

NHKは「制作過程の詳細については回答を控えたい」と答えてくれません。林氏も「NHKに聞いてくれ」というスタンス。真相が分からず、何だかスッキリしませんが、朝ドラは、朝から視聴者をさわやかな気分にさせてくれたり、今日も1日、頑張ろうという元気を与えてくれる存在。少なくとも今回の件が朝ドラのイメージに悪影響を与えないことを願いたいものです。【中野由喜】