尾上菊之助(42)が主演する新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」(25日まで、東京・新橋演舞場)が盛況だ。

8日昼の部で、菊之助がトリウマという2足歩行の巨大鳥類キャラクターから転落し、左ひじの一部を亀裂骨折するハプニングもあった。同日夜の部は休演となったが、9日から復帰した。

衣装で隠れているが、左ひじは固定されていると思われ、あまり大きな動きができない中、菊之助の奮闘が光る。高潔で優しいナウシカの人物像を掘り下げ、蟲(むし)と人との共存、戦うことの愚かさといった壮大なテーマをまとめ上げた。

強国トルメキアのクシャナを演じる中村七之助(36)もすごくいい。傲慢(ごうまん)が見えたり、露悪的に振る舞う妃殿下が、ナウシカや風の谷の人々との出会いによって変わっていく。

脇を固める役者もハマっているし、中村吉右衛門、市川中車らナレーションも豪華だ。舞台装置もよくできているので、演舞場だけでなく他劇場でも上演してほしい。