韓国を代表する俳優ソン・ガンホ(52)とポン・ジュノ監督(50)が来日し、26日、都内で会見した。2人が監督・主演でコンビを組んだ「パラサイト 半地下の家族」はカンヌ映画祭で最高賞パルムドールを獲得。米アカデミー賞候補としても注目される中、27日に日本公開される。

ジュノ監督は「ガンホ先輩と一緒に日本に来るのは03年の東京国際映画祭以来。あの頃の緊張を思うと感慨深いです」。ガンホは「僕は何度も来日しているけど、ジュノ監督と来ると注目度が違う。やっぱり格が違う」。03年の「殺人の追憶」以来4度目のコンビらしく、それぞれ笑顔で話した。

貧困家族と裕福な家族の交わりを題材に格差問題に切り込み、両家族の泣き笑いをドラマチックに描き出した「パラサイト」の国際的評価は高く、監督は「米国ではある意味タイムリーなのか、たいへんな騒ぎになっている。良い意味で日本でも騒ぎになってほしい」と期待をのぞかせた。「この企画は若い頃、アルバイトで家庭教師をしたときに裕福な他人の生活を垣間見たことがヒントになっています。そのバイトを紹介してくれたのが今の妻で、僕の体験は映画に描かれるようなおぞましい結末にはもちろんならなかったのですけどね」とも。

貧困家族の父親役を好演したガンホは「僕にも品格がそなわってきたと思うので、当然裕福な方の役かと思ったら半地下に住む貧乏な家族の方でした。監督の誘いはうれしいですけど、今度は脚本をしっかり読むようにしないと」と笑わせた。

先行公開された各国でヒットしたことについて監督は「貧富の差はあるけど、映画には本当の悪党は1人も出てこない。ちょっとした欲や思いが絡み合っていつの間にか悪夢のような結末に至る。観客は感情移入しやすかったと思いますし、いろいろ考えてもらえたんだと思います」と分析した。

互いの印象については、ガンホが「監督として20年間。時に鋭く、時に優しく鋭い視点で世の中を見詰め続けてきたと思います。監督の作品には常に『心の叫び』を感じます」と語れば、監督は「ガンホ先輩の演技を最初にモニターで見られる特権に感謝しています。その演技は動物的で思索的で予想がつかない。撮影は毎日がゾクゾクの連続です。その気持ちは、先輩を想定しながら脚本を書いているときから感じています」と返した。