劇作家で俳優の野田秀樹(64)の年賀状はいつも、何が書いているか楽しみにしている。直筆の長文の文章を印刷したもので、毎回、「えっ」と思ってしまうことが何かしら書いてある。

今回は、4人目の子供の誕生だった。昨年の年賀状で「また新しい子供が、すなわち、五十いくつ目かの作品が生まれます。出産予定日は秋です」と、昨年秋に初演され、高い評価を受けた舞台「Q」のことを書いていた。

しかし、今回は「我が身に四人目の子供(三女)が、去年につづいて誕生いたしました」と報告し、「順調に育っております。順調ではありますが、十歳を筆頭に、五歳、一歳、そして0歳と四人の子供に囲まれた日常は『天国』と『地獄』とを行ったり来たりする毎日です」と続けた。

野田は「劇団夢の遊眠社」時代に所属女優と結婚したが、その後離婚。大竹しのぶと同せい生活したこともあったが、05年に女優藤田陽子(39)と再婚した。09年に初めての子供となる長女、14年に次女、18年に長男が生まれている。

ただ、楽しいことばかりではない。13年の年賀状には「日本一元気のない年賀状」と書いていた。前年の12年12月に盟友中村勘三郎さんが亡くなった。「半ば今も、喪に服している気分です。そんな男が『おめでとう』などと年賀状を出すのも失礼かと思ったのですけれど、生き残った者は生き残りらしく、日々を淡々と暮らさなくてはいけない、そう思いながら出している」とあった。

今回の年賀状では、野田作品を見続けてきた者にとって、うれしいことが書いていた。「『Q』によって、劇作家として、まだもう少し『書くこと』が出来そうだと、確信した。その勢いに乗って、新作を年内中には書き上げたいと思っております」「非日常の中で生まれる『五十いくつ目かの新しい子供』は来年、皆様の前に顔をみせることになります」。来年のNODA・MAP公演が待ち遠しい。