歌舞伎俳優の坂東玉三郎(69)が24日、京都市内で「京丹後特別舞踊公演」(5月9~10日、京都府丹後文化会館)の取材会に出席した。同公演は、今回で5回目。丹後ちりめんの創業300年を記念している。

玉三郎は「白生地のすばらしいものは、なかなかなかった。約5年前に感動した。ここで作られていることが分かり、仕事で使わせてもらえたらと思った」といい「初めはあるものだったけど、作ってもらうようになって、うれしくて今日になりました」と振り返った。

口上では、京丹後への思いを踏まえて玉三郎があいさつをする。内容は「何をしゃべろうかなと思って出るので分かりませんが、300年ということと、丹後ちりめんとの関係はしっかり話そうと思っています」。「羽衣」「傾城雪吉原(けいせいゆきのよしわら)」も上演する。

伝統の継承について「与えられたものを精いっぱいやっていって、人との話し合いの中で新しいものが見えてくる」と考える。「今、活躍している20、30代の人でさえ、これからの歌舞伎は想像つかないと思う」と説明した。

「来てもらうお客さんに精いっぱいのものを見せて、また見たいと思ってもらうしかない。人と人が会うことが大事」

玉三郎はアブダビに行ったとき、日本ではイランなどの問題が報じられており、家族が心配していた。だが、現地の人はその話をまったくしていなかった。夜中にイランの方が光ったが稲妻だった。「情報で動かされている世界だが、そこに行ってみると違う世界だった」と振り返り、人と人が会って話すことの大切さを説明した。

4月24日に兵庫・宝塚大劇場で開幕する宝塚歌劇月組公演「WELCOME TO TAKARAZUKA-雪と月と花と-」で初めて宝塚歌劇の監修を手がける。宝塚ではちりめんは使用しない。「監修だけ。もう監修の段階は終わりました」。どんな舞台になるかは「着物ですべてを完結する春夏秋冬みたいなものです。雪月花です。宝塚だから変わった形はするんでしょうけど、着物です」と話した。