女優清原果耶(18)が今年秋公開の「宇宙でいちばんあかるい屋根」で映画初主演する。藤井道人監督(33)とともにインタビューした。

清原と言えば、昨年は「愛唄-約束のナクヒト-」「デイアンドナイト」「いちごの唄」の3作でそれぞれのピュアを演じ、透明感あふれる演技が評価され、日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の新人賞を受賞した。撮影時期を考えればすでにその時点で初主演映画の撮影は終わっていたことになるが、今年の秋には銀幕でメインを張ることになった。

小説家野中ともそ氏の同名小説を映像化した。藤井監督は「いくつか候補があったけど、この小説が一番余白と言うか、すごくいろんな可能性のある小説だなと思った。この小説の見えないもの、見えない感覚に引かれて挑戦したいといったのが4年前ぐらいのことです」。

この藤井監督の言葉を受け、記者は清原に「行間を読んで演じた芝居だったのか」と、今思えばあいまいこの上ない質問をした。すると、「行間を読んで演じた芝居というのはわかりません」とピュアに返された。

分からないことを分からないと言えること。これって、実はすごいことだと思う。自分の胸に手を当てて振り返ると、分からないことを分かったふりしてやりとりしていることって、結構ありますよね。記者は今年51歳だが、17歳の清原にハッとさせられた瞬間だった。

プロデューサーは「間違いなく座長だった」。藤井監督も「すごく見てるんですよ、全体を。だから、気が抜けない」と話したが、清原は恐縮するばかり。その姿は17歳の女子高生だ。だが、藤井監督は映画「デイアンドナイト」でプロデューサーとして関わった俳優山田孝之が「清原さんは人生4度目の17歳」と称していたことを話してくれた。これには妙に納得した。

「台本を読んでつっかかったらすぐ藤井さんに聞きに行きました」という清原。分からないことを分からないと言える“ピュア”さが、良い方向へと向いているのだろう。

自分に置き換えてみると、いつの日からか「分からない」「知らない」が「恥ずかしい」に変わってしまった。清原さんへのインタビューでまさか自分と向かい合うことになるとは思ってもいなかった。山田孝之の「人生4度目の17歳」という例えは、改めて素晴らしい言葉だと感じた。【川田和博】