歌舞伎俳優の尾上右近(27)が4日、大阪市内で、舞台「この声をきみに~もう一つの物語~」(3月6~8、大阪・サンケイホールブリーゼ、同12~22日、東京・俳優座劇場)の取材会に出席した。

朗読教室で繰り広げられる人と人との交流を描いた作品で、17年に竹野内豊(49)主演で放送されたNHKドラマ10「この声をきみに」のスピンオフオリジナル舞台。右近は「ぶっきらぼうな青年役で、朗読教室に通うことによって人とうち解けることを覚える。ほっこりラブストーリー。感動の共有ができる舞台になると思います」と紹介した。「日頃から自分も人とのつながりの重要性を感じている。役を通じてうまく伝わったら」と意気込んだ。

右近にとっては、18年の「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル ~スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ~」以来2度目の現代劇。前作を振り返り「歌舞伎しかない自分は左でお箸を持って食べなければならない経験だった。白塗りが当たり前で、素顔で現代の服装は精神的には裸の状態だった」と振り返った。前作を通して、言葉としてセリフを言う役者本来の役割を考え直し、新たな発見ができたという。

出演にあたって、「気にかけてくれる先輩から『頑張ってね』と言ってもらった。歌舞伎を欠席するが、送り出してもらった」と感謝した。

昨年12月に新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」に出演。当時を振り返り「もともとある漫画の世界。どこまで歌舞伎として表現するか。そこの部分は歌舞伎役者以外の経験だった」と振り返った。「何でもできる歌舞伎役者になっておくべきで、それがこれからの歌舞伎につながる」と説明した。