【ロサンゼルス11日(日本時間12日)=千歳香奈子通信員】米俳優トム・ハンクス(63)が新型コロナウイルスに感染したことを公表した。映画撮影準備のため、妻で女優リタ・ウィルソン(63)とともにオーストラリア滞在中で、そろって感染が判明した。

ハンクスは、エルビス・プレスリーの伝記映画で大物マネジャー、トム・パーカーを演じるため準備に入っていた。ツイッターとインスタグラムにハンクスは「私たち夫婦は疲れと風邪のような症状、体の痛みを感じ、リタは悪寒と熱もあった。新型コロナウイルスの検査を受けたところ、陽性でした」とのコメントを、ゴム製手袋と黄色いゴミ袋の写真とともに投稿した。現在は医療関係者の指示に従い、妻とともに隔離されていると報告、「状況はツイッターで世界中の皆さんにお知らせします。皆さんも気を付けて!」とつづっている。地元メディアによると、2人は滞在していたゴールドコーストの病院で治療中だという。

新型コロナウイルスは、基礎疾患のある人が感染すると重症化するリスクがあるとされている。ハンクスは13年に2型糖尿病を患っていることを告白しており、気遣うコメントが数多く投稿されている。

作品を製作するワーナー・ブラザースは、製作中断を明かし、オーストラリアの保険機関と連携してハンクス夫妻と濃厚接触した可能性のある人物の特定を行っているとした。

ハリウッドでは感染拡大を受け、「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」や「ピーターラビット2/バーナバスの誘惑」の公開が延期されたほか、今月末からラスベガスで開催予定だった映画の大型コンベンションの中止も決まった。5月に南フランスで開催予定のカンヌ映画祭への影響も懸念されている。

◆トム・ハンクス 1956年7月9日、米カリフォルニア州生まれ。若い頃は米NBCの人気コメディー番組「サタデー・ナイト・ライブ」でコメディアンとして活躍。79年に「血ぬられた花嫁」で映画デビュー。93年「フィラデルフィア」、94年「フォレスト・ガンプ/一期一会」で米アカデミー賞主演男優賞を2年連続で受賞。96年には監督、脚本を担当した映画「すべてをあなたに」が公開。「トイ・ストーリー」の声優としても知られる。