脳科学者の茂木健一郎氏(57)が、トランプ米大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼んだことについて、「控えめに言っても下品で、愚か」と批判するとともに、「問題なのは、トランプさんのやり方が、一部の米国人には訴求して、支持されてしまうということ」と指摘した。

茂木氏は20日、ツイッターを更新し、トランプ氏の発言に言及。「『チャイニーズウイルス』という言葉を連呼するトランプさんは、控えめに言っても下品で、愚かである。しかし、そのような姿勢が一定の支持を得てしまうのは、人間のもっとも基本的な感情に訴えかけるからだろう。中国からわけのわからないウイルスが来て、それで大迷惑、という認識は米国の一部にある」と私見を述べた。

続けて「トランプさんが、今秋の大統領選を睨んで、『戦時大統領』(wartimepresident)というイメージ戦略を打ち出していることも関係する。『ウイルスとの戦い』の見えない敵よりも、「チャイニーズウイルス」と呼んで、外国から侵入した敵と闘っているというイメージの方が、一部の人たちにはわかりやすい」と持論を展開。「ふりかえれば、オバマさんはほんとうに賢く、洗練されていて、また上品だった」と前大統領と比較し、「問題なのは、トランプさんのやり方が、一部の米国人には訴求して、支持されてしまうということで、結局これはトランプさん個人の問題ではなく、人間というものの持っている属性の問題なのだろう。できるだけ知的で品格のある存在でいたいとは思うが、それでは通用しないこともあるのが人間の世界だ」と述べた。

トランプ米大統領は17日、新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼んだことに中国が反発しているのに対し「ウイルスは中国から来たのだから全く正しい呼称だと思う」と正当化した。ホワイトハウスでの記者会見で語った。「中国が『ウイルスは米軍が持ち込んだ』と偽情報を流すから来た場所の名前で呼ぶべきだと言った」と反論した。