俳優佐藤健(31)が、瀬々敬久監督がメガホンを取る映画「護られなかった者たちへ」で主演を務めることが27日、分かった。4月から撮影に入る。

同作は「どんでん返しの帝王」の異名を持つ小説家、中山七里氏による同名ミステリー作の映画化。東日本大震災に端を発して起きたある出来事から現代へと続く物語で、佐藤は全身を縛られたまま放置され餓死させられる凄惨(せいさん)な連続殺人事件の容疑者、利根泰久役を演じる。

佐藤は「生活保護というシステムの裏に潜む人々のさまざまな思い、その中でも途方もないやるせなさ、悲しみ、どこへ向ければいいかわからぬ憤り、怒りをぶつけていくことが、この作品での自分の役割だと思っています」とコメントした。

瀬々監督とは17年公開の「8年越しの花嫁 奇跡の実話」以来3年ぶりのタッグとなる。「監督とは前回2カ月の岡山ロケを共にしましたが、今回の舞台は宮城です。またしばらく、瀬々組の濃厚な映画の世界に浸ってきます」と期待を寄せた。

利根を追う刑事笘篠誠一郎役を阿部寛が演じる。佐藤との共演は、10年公開「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」以来10年ぶり。「不可解な連続殺人事件を追いかける刑事役となりますが、今までとは一味違う刑事像となる予感と期待があり、撮影現場に入ることが今から楽しみです」とし、「今回の物語の舞台は宮城県を中心とした東北地方になりますが、東日本大震災のみならず、日本各地で発生している天災を風化させないためにも、物語を通して記憶と思いをつないでいければと思います」と続けた。

キャスト陣も豪華メンバーが名を連ねる。福祉保健事務所職員でケースワーカーの円山幹子役を清原果耶、国会議員上崎岳大役を吉岡秀隆、宮城県警察捜査第1課刑事で笘篠の後輩蓮田智彦役を林遣都、夫と理髪店を経営していたが東日本大震災で被災し死別、現在は独居する遠島けい役を倍賞美津子が演じる。

瀬々監督は「今、立ち向かわないといけない問題はさまざまです。新型コロナウイルスへの対応だけでなく、多くの問題の中で僕たちは生きている。今回は中山七里さんの原作を得て、貧困問題や格差社会について考えながら映画を作っていくこととなりました。まだゴールは見えていませんが、キャスト、スタッフ共にこの大変な状況の中で、映画を作る意味を考えながら粛々と突き詰めていきたいと思っています。それが僕らの仕事であり、生きていくことだと思っています」と決意を表した。

同作は今冬公開予定だ。