タレント山口もえ(42)を取材する機会があった。

3児のママにふさわしく、アニメ映画「きかんしゃトーマス チャオ! とんでうたってディスカバリー」で声優に初挑戦することになったのだ。独特の声に「OKグーグルも反応しなくて、本当に私の声で大丈夫なのかしら」と不安を覚えたそうだが、トーマスで育った8歳の長男や夫の爆笑問題・田中裕二(55)の後押しで引き受けることにしたそうだ。

役柄は「イタリアの女の子機関車ジーナ」。劇中では情熱的なジーナに山口ならではの丸みがついて、生き生きとしたキャラクターに仕上がっている。

英国生まれの「-トーマス」が75周年なら山口自身はデビュー25年の節目だ。がつがつすることなく、おっとりと受け身のまま四半世紀を乗り切ったのだから、奇跡の天然キャラと言えるかもしれない。

現在の事務所に入ったのも「ダンスの練習所だと思って扉をたたいた」のがきっかけで、本人の思いが追いつかないまま、マツモトキヨシのCMでいきなりブレークを果たした。25年ともなれば、つらいこともあったに違いないが「もともと学芸会でも後ろにいる方だったので、いろいろありましたね。何がしたいというわけではないし。でも、いただいたお仕事はその時の全力でやってきたつもりです」とさらっと振り返った。

映画会社と所属事務所のスタッフ、そして記者とカメラマンも、山口以外は全員マスク姿という環境で取材は進められた。取材後、山口が退出すると映画会社のスタッフの1人が「こんな時でも山口さんがいると何かほっこりしますね」と漏らした。同感だった。

一家そろって映画好きだそうで「みんなで映画館に行って、この『-トーマス』を見るのを楽しみにしているんです」とも言った。取材からしばらくたって、新型コロナウイルスの感染拡大で3日に予定されていた公開が延期になった。1日も早く、そんな山口の夢がかなうことを祈っている。【相原斎】