新型コロナウイルスによる肺炎のため23日に亡くなった女優岡江久美子さん(享年63)が24日、都内の斎場で荼毘(だび)に付された。

感染症で亡くなった際の火葬は厳しい制約があり、夫の俳優大和田獏(69)と長女の女優大和田美帆(36)も、場内で最後のお別れはできなかった。岡江さんの遺骨は、都内の自宅で待つ夫のもとに届けられた。

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今月6日に救急搬送されて以来、岡江さんは18日ぶりに、住み慣れたわが家に戻ってきた。この日、午後5時過ぎ、葬儀会社の社員が岡江さんの遺骨の入った箱と花束を持って自宅玄関前に到着。マスクを着用した大和田が受け取った。その後、遺骨の入った箱を持ち、門の外にいる取材陣に対応した。

黒いシャツに黒のズボン姿の大和田は一礼すると、「すみません、こんな形でしか対応できないこと、申し訳なく思います」。続けて「久美子は今帰ってまいりました。こんな形の帰宅は残念で悔しくて悲しいです。どうかみなさんもくれぐれもお気をつけください。それが残された家族の願いです。ご苦労さまでした。静かに送りたいと思います。失礼します」と言葉を絞り出した。

関係者によると、長女の美帆はこの日は実家には寄らず、自宅で過ごしたようだ。ブログを更新し「最愛の母が本当に亡くなってしまった。まだ、実感できずに娘の寝顔を見ています」と悲痛な思いをつづった。さらに「SNSや携帯にお悔やみの言葉も沢山ちょうだいし、本当にありがとうございました。気持ちが落ち着いたら、必ずお返事書きます」と感謝。その上で「17日間、私と父は何も出来ませんでした。近くに行って手を握ることも母が好きだったミュージカルの曲やかわいがってくれた孫の声を聞かせることも出来ませんでした」とコロナ禍への無力さをつづった。

所属事務所によると、お別れ会は後日行う意向だが、めどは立たないという。葬儀も詳細は決まっていないが、大和田はクリスチャンで、17年11月に岡江さんの母が亡くなった時は、僧侶は呼ばず、生演奏のクラシック音楽が流れる音楽葬だったという。