俳優斎藤工(38)と上田慎一郎監督(36)が、5日に蔦屋書店がYouTube上で開催した「オンライン本屋博」で「いま、映画にできること」と題して対談を行った。

新型コロナウイルスの影響で撮影や外出の自粛が続く中、上田監督は4月3日に映画業界でいち早くリモート映画製作を発表し、同13日に「カメラを止めるな! リモート大作戦!」(「リモ止め」)を製作すると公表。1日に配信にこぎ着けた。一方、斎藤もテレワーク会話劇を経て映画製作に進む企画「TOKYO TELEWORK FILM」を4月23日に始動。第1弾企画を同29日から1日までオンライン上映した。今回の対談は、2人の作品の公開を記念して企画、開催された。

斎藤は、齊藤工名義で企画、原案、脚本、撮影、総監督まで務めた映画「COMPLY+-ANCE コンプライアンス」について、今後、現状の日本社会を踏まえた「コロナプライアンス」という新企画を作る考えを明らかにした。

斎藤は「今、例えば女優さんに取材する時って(俳優の)僕もそうだけどリモートじゃないですか? リモートで、今の条件で取材が来るということで」と企画について語った。その上で「多分、ユーチューバーの方とか、1カ月くらい前は『コロナ』ってワードが言えなかったり、新たな制限、制約、コンプライアンスが生まれていると思う」と指摘。「そこ(現状)を引き上げて、今は、ほぼ台本ができている状態。前作と『コロナプライアンス』が対になって、またオンライン上映がベースだと思いますけど稼働できれば」と企画意図と今後の見通しを説明した。

それを聞いた上田監督は、「カメ止め」が18年6月に都内2館で公開され、爆発的な人気を巻き起こして以降、ファンのことを「感染者」と呼び、その呼称が定着していたと語った。その上で「今は感染者という言葉が、全く違う意味になっているので、コアなファンが使わないようにして発信している。僕も使えないですし…」と語った。「カメ止め」は、山奥の廃虚で37分間ワンシーン・ワンカットでゾンビサバイバル映画を撮影した撮影隊を描いたが、上田監督は「今回、ゾンビを出そうか出すまいか迷ったけど、やっぱり今は、そういう時じゃないなと“コロナプライアンス”を考えて、今というものを出して作った」と語った。

「COMPLY+-ANCE コンプライアンス」は「カメ止め」「リモ止め」にも出演している秋山ゆずきが主演した。斎藤が「秋山さんに、ヒロイン役をやっていただくんで。秋山さんのリモート作品が増えていく可能性がある」と秋山の再起用を明言すると、上田監督は「この間『リモート女優になってきた。仕事が増えた』と言っていました」と秋山の言葉を紹介し、笑った。