インパルス堤下敦(42)が展開するYouTubeチャンネル「堤下食堂」が好調だ。堤下が食堂の店長に扮(ふん)し、さまざまな料理を披露する。登録者数は30万件に迫る勢いで、これまで週2回の更新を、ゴールデンウイークから週3回に増やすなど、力を入れる。チャンネルへの注目が増すとともに、テレビ出演のオファーも増えてきたといい、媒体による仕事の選択がうまくいっているようだ。

都内にあるキッチンスタジオ。普段は、自宅キッチンで収録するが、この日は京本政樹がゲスト出演することになり、所属の吉本興業を通じてスタジオを用意した。通常は、堤下とスタッフのまるちゃんの2人だけ。「かかる経費は食材費だけですね。あとは、食器とか。でも食器は1度そろえれば、ずっと使えますから」。

YouTubeへのきっかけはお笑いコンビ、キングコング梶原雄太だった。堤下は17年に2度の追突事故を起こして謹慎、18年10月に所属の吉本興業が展開する「あなたの街に住みます芸人プロジェクト」の「神奈川県に住みます芸人」として再スタートを切ったが、すぐにもとの場所に戻れたわけではなかった。

そんな時、梶原ことカジサックのチャンネルに出演。料理を紹介していたところ、ユーザーから「堤下も料理チャンネルを作ればいいのに」との声が寄せられ、昨年8月に「堤下食堂」をスタートさせた。

「母から習った料理などを自分で作っていて。テレビやネットの料理番組は2人前、3人前が多いんですよ。でも、僕は1人前。スーパーで買える食材で1人前の料理というのがコンセプトなんです」。

撮影、編集を担うのはまるちゃん。一般企業に勤めるエンジニアで、とある場所で知り合い、一緒にやることに。当初は2人の掛け合いもぎこちなかったものの、回を重ねるごとにさまになってきた。「カメラの機種もよくなり、照明などもうまくなりましたね。何より、料理の技術も上がりました。なにより、まるちゃんのトーク力が上がりました」。更新回数が週3回になることもあり、堤下も編集ソフトを購入し、自身も携わりたいという。

登録者数が増えるとともに手応えを感じ、本気でYouTubeに取り組んでいる。「テレビの時はそうではなかったというのではないですが、本気でユーザーからのコメントを聞いています。そのコメントによって、きちんと改善する。ここは嫌だとあったら改めるし。とにかく視聴者の求めるものに寄り添うというか、欲しいものを提供するのがYouTubeで、テレビとの違いだと実感しています」。

YouTubeに進出する芸人も多い。雨上がり決死隊の宮迫博之(50)もユーチューバーを選んだ。堤下はバッドボーイズ佐田のチャンネルが好きだという。「ネタとかは、テレビの映像を一般の人があげたりするじゃないですか。だから、お笑いよりも、趣味のものが受ける気がします。佐田さんもDIYですから。趣味が多い人はYouTubeに向いている。自分から見たいものを見るのがYouTubeのいいところなんです」。

堤下はYouTubeのほか、SHOWROOMにも参加し、クラウドファンディングで資金を募り舞台も手掛ける。これらの経験が信用となり、テレビ出演のオファーもくるようになったという。堤下は「それぞれの媒体でいろんなことをやらせてもらっています。SNSも全部やって、信用してもらい、最終的にはお笑い芸人を思いっきりだせればいいなと思っています」と話した。