新型コロナウイルス感染拡大の影響で新作映画の劇場公開延期が相次ぐ中、米ユニバーサル・ピクチャーズが話題作のインターネット公開に踏み切った。営業停止の長期化で瀬戸際が続く米映画館業界は、劇場優先の慣例を破る配給大手の動きに強く反発している。

物議を醸したのは、2016年にヒットしたアニメ映画「トロールズ」の続編「トロールズワールドツアー」。アマゾン・コムやアップルの動画配信サービスで4月に公開された。48時間レンタルで料金は19・99ドル(約2100円)。米メディアによると3週間で1億ドル近くを稼ぎ、前作が5カ月間で記録した興行収入を超えた。ユニバーサルは好成績を受け劇場とネットの同時公開を本格化する方針を示した。

「絶対に受け入れられない」。米映画館チェーン最大手AMCエンターテインメントはユニバーサル配給作品の上映取りやめを通告した。米リーガル・エンターテインメント・グループも劇場を90日間優先する従来のルールを守らない作品は上映しないと表明した。

だが映画館の全面再開時期は見通せず、配給会社側の動きは加速。ワーナー・ブラザースがアニメ映画「スクーブ」をネットで先行公開し、ウォルト・ディズニーも人気ミュージカルの映画版「ハミルトン」で追随することを決めた。

ユニバーサルの調査では、トロールズを借りた人の51%が「間違いなく映画館で見ただろう」と回答したという。米アカデミー賞主催団体は「映画の魔法を体験するのに劇場より優れた場所はない」と訴えるが、その価値が問い直されている。(共同)