芸能プロダクションのレプロエンタテインメントは22日、2017年(平29)3月に東京・浅草に開業した劇場「浅草九劇」を、オンライン型演劇場としてリニューアルすると発表した。

新型コロナウイルスの影響で、演劇やライブの自粛が要請され、公演が相次いで中止を余儀なくされている。その中、過去の公演をYouTubeで配信したり、オンライン会議システム「Zoom」などを使って映画や演劇、朗読を完全リモートで製作し、配信する試みが広がりつつある。

その一方で、新作の舞台やライブなどの公演を発表することは、難しい状況にある。そうした状況下で作品を発表し、公開、展開するにあたって配信は欠かせないが、演劇やライブの製作者が、配信まで準備することは容易ではない。浅草九劇は、そうした企画と製作をサポートするため、作品のオンライン配信が快適にできるような設備とスタッフを常設した、オンライン型演劇場へのリニューアルを決めた。

リニューアルに伴い、6台のカメラ、画面の切り替えなどを行うスイッチャー、ディスプレイなどの機材を新たに導入し、常設する。これにより、ライブ配信や収録のオンライン配信が可能となり、DVDやブルーレイの制作、インターネット販売まで可能になる。また、機材を使用した他劇場への出張配信や出張収録も予定している。6月からは、具体的にオンラインコンテンツの企画と製作を進め、無観客配信をはじめとした、オンラインでの公演を実施予定だ。

浅草九劇の佐々木弘毅プロデューサーは「浅草九劇は、今まで以上にクリエイターの熱意や努力に寄り添い、作品が生まれる瞬間を見守っていきたいと思います。オンライン配信を通じて、エンタテインメントの再開を心待ちにしているお客様1人ひとりと、クリエイターとが手を取り合うことのできる、そんな劇場を改めて目指します。そして、いつかまた劇場にお客様が戻ってきてくれることを強く願っています」とコメントした。

浅草九劇は、長谷川京子、真木よう子、新垣結衣らが所属するレプロエンタテインメントの創立25周年記念プロジェクトとして、演芸の聖地浅草に設立。約130人程度収容の小劇場で、開業以来「人を育む劇場」を目指し、演劇では、ベッド&メイキングス、カンパニーデラシネラ、カムカムミニキーナ、good morning N°5、月刊「根本宗子」といった劇団から、SPOTTEDLIGHT「アルプススタンドのはしの方」や横山拓也作・鄭義信演出「エダニク」、劇団AUN age「オセロー」といった話題作まで上演してきた。また、ダンスパフォーマンスや落語の会、音楽ライブ、アート展示、イベントなど、多種多様なクリエイターが登場してきた。

今回のオンライン型演劇場へのリニューアルにあたり、浅草九劇のお掃除係・渦巻夫(うず・まきお)出演のプロモーション映像も公開した。