綾野剛(38)が21年公開予定の主演映画「ヤクザと家族 The Family」(藤井道人監督)で、初のヤクザ役に挑むことが26日、分かった。親子の契りを交わす暴力団組長を演じる舘ひろし(70)と初共演する。

暴力団組員の半生を家族愛の視点で描き、現代ヤクザの実像を浮き彫りにするオリジナル作品。

綾野は広域指定暴力団の3次団体、柴咲組組員・山本賢治を演じる。舘演じる組長・柴咲博に孤独な少年時代を救われ、ヤクザの世界に足を踏み入れる。暴力団対策法の施行など時代の波にさらされながら、「組織としてのファミリー」と「愛する自身の家族」の間で葛藤する山本の20年を描く。

第43回日本アカデミー賞主演男優賞、主演女優賞、作品賞の3部門で最優秀賞を獲得した映画「新聞記者」を手掛けた藤井監督をはじめとする同作のスタッフが集結。抗争ではなく、家族愛をテーマにヤクザの世界を描く意欲作となった。綾野は「渾身(こんしん)の作品が生まれました」と自信を見せ、「現場では今までに感じたことのない鼓動の連続で、毎日が走馬灯のようでした」と充実ぶりを振り返る。

77年の映画「地獄の天使 紅い爆音」以来43年ぶりのヤクザ役となる舘は、綾野との共演に刺激を受けたとし「訴えかける目力が素晴らしい。いつも作品のこと、役柄を深く考えており、役の中をリアルに生きる。そんな俳優さんだと思います」と称賛している。

◆「ヤクザと家族 The Family」 自暴自棄になって暮らす少年山本賢治(綾野)は、柴咲組組長柴咲博(舘)に拾われる形でヤクザとなる。組織の中で出世し、愛する家族を持つが、20年の間にヤクザを取り巻く環境は変わり、山本は柴咲組と自身の家族、2つの“ファミリー”の間で揺れることになる。