俳優柄本明(71)が、1993年(平5)から上演を続けてきた、ひとり芝居「煙草の害について」を、オンライン型演劇場にリニューアルした東京・浅草九劇で6月5、6日に上演し、有料配信することが27日、分かった。76年に劇団東京乾電池を結成し、座長を務める柄本にとって、オンラインでの舞台上演は初挑戦。18年の主演舞台「誰もいない国」以来、2年ぶりの舞台への出演となる。

浅草九劇では、オンライン型演劇場リニューアルの第1弾公演として柄本の「煙草の害について」を上演するのを皮切りに、舞台公演、ライブなどをオンラインで次々と展開していく。

まず6月7日午後4時から、ミュージカル俳優の福井晶一(46)が、ゲストに俳優坂元健児(48)を迎え、トーク&ライブイベント「It's Sho-Time Vol.1」を開催する。福井は「今こそ文化、芸術の力が試される時。オンライン型演劇場としてリニューアルした九劇の今後の可能性に大いに期待します。初めての試みでどうなるかわかりませんがゲストの坂元健児さんとともに楽しい時間をお届けできたらと思います」とコメントした。

6月17、18日には、俳優大鶴佐助(26)美仁音(28)姉弟が、ふたり芝居「いかけしごむ」を上演する。3月に亡くなった劇作家・別役実さんの戯曲を、大鶴姉弟が構成、演出も担当。大鶴佐は「最近夜にタバコを吸いに外へ出ると人影が全く無く東京なのに寂れた空気を感じる事があります。そういう時、僕は、もしかしたらこの世界に今存在しているのは自分だけなのではないかと錯覚して人を見つけるまで少し歩きます。通りに出れば人なんてすぐ見つけ僕は安心し少し後悔します。『いかけしごむ』はそういう空気や匂いの漂いが最近の夜に似てるものを感じました。暗い夜の街のもっとも深いところへ姉と行ってみたいと思います」とコメント。公演は両日ともに午後7時半に開演する。

6月24日から26日までの3日間は、劇作家で演出家の田村孝裕(44)作・演出の、ふたり芝居「タンスのゆくえ」を上演する。俳優中村まこと(57)と女優で日本舞踊家の藤間爽子(25)、俳優の山口森広(38)と町田マリー(40)がタッグを組み、公演では両バージョンを上演する。田村は、オンラインでの上演という新たな挑戦を前に「演劇のエンジンをそろそろかけようと思います。しかし乗ったことのない新車です。九劇さんが用意した新車とともに、新たな演劇の形を模索します。全力でアクセルを踏みますので一緒に体感していただけたら幸いです」とコメント。公演は3日間、いずれも午後7時半に開演する。【村上幸将】