歌手野口五郎(64)のデビュー50周年メモリアルアルバム「Debut 50th Anniversary~since1971~」発売に合わせて、このほどインタビューを行った。

歌手としての活動はもちろん、バラエティー番組やドラマなど、幅広く活躍してきたことはここで書くまでもないが、50年間、第一線で活躍してきた秘訣(ひけつ)について話が及ぶと、意外な答えが返ってきた。

「思い通りにはいかない…でもそれが人生だと思います。例えば世間の人が僕のことをどう思うか? と考えると、実際に僕のやってきたこととは違う思いを持っていたりします。『カックラキン大放送!!』に出ていた人というイメージの人もいれば、オヤジギャグを言う人というイメージの人もいる。それぞれ、自分の受けとめやすいところでイメージを持ってもらっていると思うんですけど、僕はそれでいいと思うんです。もしかしたら、自分のやっていることとあまりに世間がフィットしている方が、窮屈なのかもしれませんよね」

今回のメモリアルアルバムにも、可聴音をゆがませない超低周波の深層振動「DMV」を搭載するなど、音楽への追求は尽きないが「深層震動もいつかメジャーになった時に、『それって、実は野口五郎がやってたの?』って思ってもらえればおもしろいかなと。それでいいと思うんです」。

それぞれの仕事にこだわりを持ちつつ、それでいて多方面で活躍できるのは、こんな柔軟な発想が常にあるからだろう。

そしてそんな発想の源は、“メモ魔”であること。自宅のあらゆるところに、使用済みのA4用紙を切ったメモ帳と、そばには芯が折れにくいクリップペンシルが置いてあるといい「思い付いたら、すぐにアイデアを書けるように。なぜ使った紙かというと、白紙だとどこから書こうかと構成を考えてしまって、その瞬間にアイデアが消えちゃうので」。そんなアナログな部分も、とてもチャーミングに感じられる人柄もまた魅力なのだろう。【大友陽平】