フジテレビのトレンディードラマの生みの親で、同社常務、子会社の共同テレビ社長などを歴任した俳優山田良明(73)が、7月1日放送の篠原涼子(46)主演の日本テレビ系連続ドラマ「ハケンの品格」(水曜午後10時)に出演することが24日、発表された。

山田が演じるのはスーパーハケンの主人公・大前春子(篠原)の派遣先の株式会社S&Fの新社長・宮部蓮三(伊東四朗)の側近で、総務担当部長の小山田和正役。

山田はフジテレビの80年代のドラマ「北の国から」シリーズをはじめ、「抱きしめたい!」「君の瞳をタイホする」「君が嘘をついた」などのトレンディードラマを手掛けた。05年にフジテレビ常務、07年には共同テレビジョン社長に就任したが相談役を経て退任。18年7月に舞台「新・幕末純情伝」で俳優デビューした。

作り手から役者への転身に山田は「70歳を過ぎて(共同テレビジョンの)代表取締役社長を退き、はて、次は何をしようかと、例えばゴスペルとか、何かを始めたいと考えた時に、たまたま知り合いの役者さんと話す機会があって、その話の流れで、その方が主宰する俳優のシニア向けのワークショップに通い始めました。それがまさかドラマに出演するまでになるとは考えてもみなかったです」と振り返る。

かつてのライバルだった日本テレビの「ハケンの品格」への出演については「脚本の中園(ミホ)さん、プロデューサーの2人ともよく知っている人ですから。おそらく『70歳を過ぎて俳優に転職した』ことを面白がって、お声掛けしてくださったんだろうなと(笑い)。ただ、これほどの作品に出演することになるとは、当然思ってもみませんでしたが、気軽な気持ちで引き受けたのが間違いでした」と笑っている。

俳優として撮影に臨んで「もう、『一体何年ドラマを作っていたんだ?』と自問したくなるくらい、現場に入ると頭の中が真っ白になってしまいました。自分が作っていた頃は役者さんに『どうしてできないの?』と思っていた事が、いざ自分がその立場になってみると、面白いぐらいにうまくいかない。せりふを覚えて、間違えないようにと思えば思うほど、体の芝居がそれに合わない。『表現』することの難しさを改めて感じました。そばで同じ演者として役者さんを見ていると、本当に素晴らしい。よくもまあ作り手の頃は指示なんて出せたものだと思いますし、心から尊敬しちゃいます。また、現場のスタッフの皆さんも、このような状況下で制約が多く、通常の2倍、3倍と労力がかかっているにも関わらず、熱をもって制作にあたっている姿がとても印象的です」と話している。

「ハケンの品格」は07年1月期に放送され平均視聴率20・2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と大ヒットを記録。今回が2シリーズ目だ。「前作から13年もたっているとは思えないほど篠原(涼子)さんも、小泉(孝太郎)さん、大泉(洋)さんも変わらないお姿で、なにより篠原さん演じる大前春子が変わらない。このような時代に、状況になっても変わらず生き続ける大前春子の姿に勇気をもらえる作品ですし、『ハケンの品格』らしいテンポの良い痛快な物語ですので、暗い出来事はいったん忘れて笑ってもらえたらと思います。まさか自分がこの作品に出ることになるなんて思ってもみませんでしたが、70歳を過ぎて、あえて安定を取らず不安定な世界に身を投じることで感じられる喜び、できる表現があるのだと気づきました。私自身も微力ながら役に立てていればうれしいです」と話している。